作詞・作曲:増田裕子。ケロポンズのアルバム『アルバム・エビカニクス』(2002)に収録、シングルカット(2007)。

たいへん笑わせます。アイディアが秀逸です。エアロビクスとエビ・カニの甲殻類をかけあわせるアイディア一貫で疾走。

アレルギーの人が食べられない旨の歌詞を含んだオリジナル版があるそうです。あとで改正されたバージョンが現在動画などに使われていてアクセスしやすい。みんながおいしそうに食べるものをアレルギーの人は食べられない悲哀をネタに拾う・おもしろがるのもものづくり(ソングライティング)する人としてあるべきアンテナ……エビカニの手腕(ハサミ)だとは思いますが、アレルギーのある人もない人も広く、意図しないときに嫌な思い出や感情などをいたずらに反芻させない配慮として当該箇所の歌詞を“ほらむきむきプリプリ踊ろう”(作詞:増田裕子、『エビカニクス』より)とバージョンアップしたのは私の評価するところですし、「むきむき」「ぷりぷり」がモチーフのシズル感をマッチョ化していてグーだとおもいます。食べたら元気になって強くなれそうですよね。プリン体が気になるオトナもいそうです。

歌唱の、ネイティブの活発な先生みたいなアプローチが楽しいです。とにかく元気で、おふざけともとられかねない曲想ですが真面目にピュアに全力で走り抜けるのでその香り(ふざけるきらい)は影もなく、とにかく溌溂として活気がはじけています。男声も同じキーで声を張ってコーラスに加わって左右に音を広げています。wao!

間奏のフリーキーなソロがジャズみたいです。サックスのトーンでしょうか。鍵盤でめちゃんこに弾いたのを収録したのでしょうか。カニやエビの言語を表現しているみたいで秀逸。決してわかり合えない気がします。甲殻類など、節足動物と哺乳類の間の意思疎通の壁は高く感じます。さかなクンあたりなら甲殻類の心もわかったりするのでしょうか。

この歌をたいへん気に入ってしまい、私も自分で歌うのにチャレンジしてみましたところ、息をする暇がかなりタイトであることに気づきます。エアロビクスでビシビシとストイックにエクササイズをする……演奏者にハードルを課す楽曲でもあるのを思います。鑑賞しても楽しいでしょうが、演奏したり踊りに加わったりすると息が切れる人も出るかもしれません。ビールとエビカニで反省したくなりそうです。

図:『エビカニクス』サビのボーカルメロディの採譜例。8分音符で埋め尽くされ、“エブリバディ”のかけ声が間に入り、まったく息を吸う暇もありません。ドS!

青沼詩郎

参考Wikipedia>エビカニクス

参考Wikipedia>ケロポンズ

カエルちゃんネット>ケロポンズ

参考歌詞サイト 歌ネット>エビカニクス

『エビカニクス』を収録したケロポンズのアルバム『アルバム・エビカニクス』(オリジナル発売年:2002)

『エビカニクス』を収録した『エブリバディ おどろう! ケロポンズ BEST』(2019)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『エビカニクス(ケロポンズの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)