FIELD OF VIEW DAN DAN 心魅かれてく をYouTubeでさがす
作詞:坂井泉水、作曲:織田哲郎、編曲:葉山たけし。FIELD OF VIEWのシングル(1996)、アルバム『FIELD OF VIEW II』(1996)に収録。『ドラゴンボールGT』(1996-1997)オープニングテーマ。
オダテツさん(愛称で失礼)ブランドといいますか、もういうまでもなくコードとメロディが素晴らしい。ここに来る!という意外さと、こうきてくれてありがとう!という鉄板さが抱き合ってキスして生まれた傑作然。職人ですね。
葉山たけしさんの編曲も、よくぞここにこれを築いてくれたという感じで、エレキギターのリードやオブリにピアノの絢爛なオブリが波状にやって来ます。エレキギターのブリッジミュートの刻みがリズムを強調。途中でBメロのところで歪みが強烈に深くなってオープンサウンドを交えたプレイがトガっています。といったアクセントを置き、全体としては精緻な編曲で、作詞作曲編曲者がバンドメンバーとは別にいる「提供曲」としてのバンドレパートリーの魅力と品が漂います。ピアノが的確。ドラムはシンプルですがタムが音場を広げ臨場感あり。
Cメージャーのサビ始まりのツカミで、ベースが下行する王道のカノン進行ふうなのですが、AメロのアタマでC調にとってのⅣmを接着に、同主短調のCmにとっての平行調のE♭調に接続してしまうのが巧い。職人の手指を感じます。FmでE♭調のツーファイブに入ったのを感じさせる瞬間の胸キュンな響きのわびさびといったら、日本人として生まれてJポップにありつけたことを感謝したくなります。
“君と出合ったとき 子供のころ 大切に想っていた景色(場所)を思い出したんだ 僕と踊ってくれないか 光と影の Winding Road 今でも あいつに夢中なの? 少しだけ 振り向きたくなるような時もあるけど 愛と勇気と誇りを持って闘うよ”
(『DAN DAN 心魅かれてく』より、作詞:坂井泉水)
ZARDこと坂井泉水さんの、平易な言葉を中心にした実直さがかえって異彩を放つレベルで引力を発揮する作詞がオダテツさん(愛称で失礼)の必殺のメロディとがっちりスクラムしつつ奔放にリスナーを引き回します。ZARDの傑作『負けないで』のライン““今宵は私(わたくし)と一緒に踊りましょ” 今も そんなあなたが好きよ 忘れないで”(作詞:坂井泉水)を思い出します。音楽の土俵で坂井泉水さんの語彙には踊る観念が出やすいのかもしれません。『負けないで』は、そんなことを唇から発してしまう「あなた」へ寄せる好意を表現しています。ひょっとしたら『DAN DAN 心魅かれてく』と『負けないで』は連作なのかもしれませんね。ZARDの表現の地平が広くつながっているのを思います。『負けないで』がZARDの表現の主観、『DAN DAN 心魅かれてく』はZARDの主人公が描く「あなた」の主観です。
ZARDの『DAN DAN 心魅かれてく』
ぐいぐい引っ張るといますかズンズン押し出すブリッジミュートのエレキギターやピアノの絢爛で的確な存在感はFIELD OF VIEWと通じて思えます。豪華な感じのBGVも同じく。葉山たけしさんと個性のステイタス・グラフが似ている感じがしますがこちらの編曲は池田大介さん。ぐんぐん前にいく颯爽としたテンポを感じるセルフカバーです。
青沼詩郎
FIELD OF VIEWのシングル『DAN DAN 心魅かれてく』(1996)
『DAN DAN 心魅かれてく』を収録したアルバム『FIELD OF VIEW II』(1996)
未発表テイクの『DAN DAN 心魅かれてく』を収録した『FIELD OF VIEW 25th Anniversary Extra Rare Best 2020』(2020)
『DAN DAN 心魅かれてく』を収録したベストアルバム『SINGLES COLLECTION+4』(1997)
作詞提供者:ZARDのセルフカバーの『DAN DAN 心魅かれてく』を収録したアルバム『TODAY IS ANOTHER DAY』(1996)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『DAN DAN 心魅かれてく(FIELD OF VIEWの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)