団円を感じるサビ

サビを迎えたときの響きに出会いのときめき感を覚えます。平成時代の日本のバラエティ番組において、感動や想いの成就、何かが報われたとき、団円を迎えたときのBGMという印象があるのは私だけでしょうか。

ハープやピアノやがぽろぽろと絢爛、優美なフルート、哀愁漂うオーボエ、勇気がわきおこるようなホルンの上行音形……音像が祝福に満ちています。

ヴァースの16分割の譜割りが細かいです。カレンさんのボーカルのリズムの解像度が高いうえそのリズム感でもって前後に崩すといいますか、タメやゆらぎが効いて生命感が宿ります。サビ(コーラス)のあたま、「I know I need to be in love」のあたりはヴァースと比べればわずかに音価が広がり、Ⅳのコードではじまる響きと相まってエモーションが渦を巻きます。Ⅳの直後にⅳ上のⅤみたく、ちょっとした半小節程度の低音保続も細かいポイントですが私のときめきを助長します。

作曲者名義のなかにはアルバート・ハモンドがふくまれます。ヴァースの細かい譜割りにどことなく彼の作風を感じる気もします。

I Need to Be In Love 青春の輝き Carpenters 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:Albert Hammond、John Bettis、Richard Carpenter。Carpentersのシングル、アルバム『A Kind of Hush』(1976)に収録。

Carpenters I Need to Be In Love 青春の輝き(アルバム『A Kind of Hush』収録)を聴く

登場する音数をぜんぶ書き出すと相当なキャスト(役者)の数になる彩豊さですが、そのときその瞬間で顔を出す役者がいちいち違います。スポットライトの焦点があたたたかくもキリっとしていて、エレクトリックピアノが横切ったかと思えばからっとしたエレキギターが風にそよぐ木立ちのように噂話をはじめます。

打鍵が各部の機構に共振をあたえる解像度・臨場感のあるピアノが印象的なイントロ。フルートがモチーフをオーボエに渡し、ある人の奉仕がある人に伝わって恵みが託されて輪廻円環していく審美を覚えます。

ストリングスが、クワイアが、エレキギターが……奇跡を迎えたかのような充足に満ちるサビの響きは諸楽器パートの組み合わせ・音像の様相が変化することによりAセクションからの対比がさりげなく演出されている意匠にもひとつ秘訣があるかもしれません。クワイア(合唱。複数のトラックによるバックグラウンドボーカルパート)の響きがなんだかトロンボーンやホルンといった低域中心のホーンセクションの音色にも似て聴こえます。両方入っているのか、いずれかを私が幻聴しているのか。ポロポロ、チャミ〜ンと重なった撥弦楽器の響きに古楽器のハープシコードがいるような気もしますがこれも私の幻聴なのかどうか。

瞬間瞬間で、あんなこともあった、この頃はこんな人と関わってこんな仕事に夢中になっていたっけ、などという回顧を誘引する、面相の豊かな人生を振り返るような趣をもつサウンドなのです。2・4拍目でスネアを鳴らすんじゃなくてクローズド・ハイハットをつかうパターンはカーペンターズのはんこという感じがします。美曲のポップソング世界代表です。

言語を超越し、サウンドスケープで語る座右の銘や箴言のよう。愛は生涯の師なのです。与えれば与えられん。

青沼詩郎

参考Wikipedia>青春の輝き見つめあう恋 (アルバム)

参考歌詞サイト Genius>I Need to Be In Love

参考和訳歌詞掲載サイト 世界の民謡・童謡>青春の輝き I Need To Be In Love カレン・カーペンターが最も好んだ曲 野島伸司のドラマで大ヒット テレビで使われているイメージを私にすりこんだのはドラマ『未成年』だったのかどうか。日本語にして読むと、愛や恋が本人にもたらす学びは生涯に渡る幅の広さ、大きさをもつのを印象付けるきわめて私的なのに悠久な普遍を思わせる美しい歌詞です。

『I Need to Be In Love』を収録したCarpentersのアルバム『A Kind of Hush』(1976)