大小のまつりをかさねる軌道

6拍子あるいは4+2拍をサビに頻繁に用います。一時的に熱があがったり、乱れや局所的な流れの変化があること、つまり「流行り」を変拍子で表現します。盛り上がり(ピーク、流行)を重ねながらステップ(段階、経過、足取り)していくのが人生であると銘打つ主題(曲名)だと思います。

はずんだダウンビートがうきうきした印象です。ビートルズのペニー・レインやマックスウェルズ・シルヴァー・ハンマーなどを思い出させるビートとグルーブの感触です。

吉田拓郎とかぐや姫(ほか出演)の1975つま恋コンサートのライブ映像を最近DVDでみました。会場の建設をはじめる様子、このコンサートの開催の広報をうけての世間の人の反応やそれについて語る様子、そしてコンサートの演奏中の様子まで含むドキュメンタリー映像でした。その時代の人の話す様子、話し方などが現代とだいぶちがって感じられ、新鮮な気持ちになりました。話し方や態度って、その人(その時代の社会)の価値観がふんだんに映り込むのだなと実感します。

本曲はその「つま恋(1975)」のステージでもパフォーマンスされました。南さんの歌唱のキーが高い。原曲はAメージャーです。ギターを置いてハンドマイクで、胸元のざっくり開いた衣装で飛び跳ねながら軽い身のこなしで歌う南こうせつさんの様子が印象的なライブ映像がDVDで観られます。“つま恋1975”当時の南さんは25~26歳くらいの頃のはず。この頃、かぐや姫は解散していたようなのですが、春ごろに解散したばかりのグループの最後のまつり? みたいな演奏が真夏にまた見られるぜ!(つま恋の開催は8月初頭)というのが当時の時事の順序だったように察せられます。こうした大小の「まつり」をかさねながら(ステップしながら)人生の軌道が刻まれていくのです。

人生は流行ステップ かぐや姫 曲の名義、発表の概要

作詞:山田つぐと、作曲:南こうせつ。かぐや姫のアルバム『三階建の詩』(1974)に収録。

かぐや姫 人生は流行ステップ(アルバム『三階建の詩』収録)を聴く

リードボーカルがとても繊細です。「つま恋」のライブ映像が熱かっただけになかなかスタジオ録音作品と印象のギャップが大きい!

ベースの音の切り方が非常に短いです。ドラムもエ!っとおどろくほどにミュートがきつく余韻がデッド。これによってキュッキュ!と音の残響空間がとまり、リズムのメガネが透明になります。相対的に、空間がひろびろとかんじられるのです。左右にワイドに、アコースティックギターのストラミングがひらきます。左トラックにはスティールギターがひゅるひゅると盤上をわたります。右にはぽろぽろよろこびがこぼれそうなピアノの指さばきが軽い。左右への定位わけがはっきりしており、中央のリードボーカルとドラム・ベースの近くもスッキリしています。

バックグラウンド(ハーモニー)ボーカルのダイナミクスや声色の調和度がすごい。かぐや姫のハーモニーグループとしての力量がさりげなく高らかに記録された録音物だと思います。

大サビ(Cメロ)で南さんのファルセットのボーカル。音域がすこぶる高い。大サビ明けのAセクションで歌詞が「君の最初の 熱いキッスは ダイナマイトさ」と繊細なボーカルにしては激烈なことばづかいの歌詞が来たところで、倍音をおさえた単純な音色のオルガンみたいなトラックがポピポピとオブリガードをいれます。耳をひく新キャラが随時、代謝するようにあらわれては背中をみせるさまも主題の「人生は流行ステップ」をおもわせます。

エンディングのその瞬間はそれまでになかった7拍子(4+3拍子)のキメがあらわれて終止です。流行のステップ(経過)はこれからも輪廻と階段昇降をつづけるのです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>三階建の詩吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋

参考歌詞サイト 歌ネット>人生は流行ステップ

伊勢正三 公式サイトへのリンク

南こうせつ 公式サイトへのリンク

山田パンダ 公式サイトへのリンク

『人生は流行ステップ』を収録したかぐや姫のアルバム『三階建の詩』(1974)

『吉田拓郎・かぐや姫 コンサート イン つま恋 1975+’79 篠島アイランドコンサート』(2012)