正当化されるオバケ特権の愛嬌

アニソン音頭のパイオニアが本曲とのこと。オバケという割には存在感ありすぎ。作詞が原作漫画の藤子不二雄さん。作曲の広瀬健次郎さんは東宝映画の劇伴など(「若大将」シリーズなど)を担当されたキャリアをお持ちの方。

アニメのオバQの主題歌の本曲は当初ソノシートでリリースされていたそう。音質が良い媒体とはいえないかもしれませんが一度はソノシートで聴いてみたいですね。

チョンチョンチョン、チョチョンがチョン……みたいな音頭のリズム。シロフォン(木琴)がカチカチいって、ホーンが高鳴り、ストリングスはもちろん入って、ちゃんちきチャンチキとチンドン屋が持つような和物の太鼓や金物(鉦?)がにぎやかすサウンドは豪勢なものです。

歌詞は意味があってないようなある種の「薄さ」も「オバケ」の特権で正当化されてしまいます。ホーイオバキューとか、そもそもキュキュキュのキューとか、オバQだからこそ正当化されるオノマトペが憎くも愛嬌に満ちます。

・音頭が消えていってないか?

私の街の夏まつりでは昔は広場の中央に櫓を組んでたくさんの市民でそれを囲んで爆音で本曲『オバQ音頭』を流したものです。夏まつり自体は継続開催していても、そうした形での「音頭」の機会が消失していっているのを感じます。

オバQ音頭 曲の名義、発表の概要

作詞:藤子不二雄、作曲:広瀬健次郎。TBSアニメ『オバケのQ太郎』(1966)後期主題歌。曽我町子&石川進のシングル。『オバケのQ太郎 踊り大会』なる前後期の主題歌がAB面になっているミニアルバム(4曲入り)もあるそう。

曽我町子&石川進 オバQ音頭(コンピレーション『藤子・F・不二雄生誕90周年記念 藤子・F・不二雄 MUSIC HISTORY』収録)を聴く

声優さんの絞り出したようなハスキーなこそばゆくコミカルな声が絶大な愛嬌。お二人の歌唱のオクターブ違いのユニゾンで歌い進められます。それぞれにキャラを演じるうえで音程のアプローチに積極的な「崩し」があっても、ふたりで主旋律をオクターブで歌っているので旋律線の輪郭が崩れません。さすがに「オバケラオバケラバケラッタ」のあたりは2人で盛大にメロディを崩しにかかるのでもはや想像でしか採譜に及びません。オケの旋律をヒントに主旋律を想像して補完するよう。

サックスやホーンの類。ストリングスとひととおり豪勢な踊りの列を楽団がなします。

このスタイルはドラムセットでは駄目なんです。和物のタイコが左よりに定位。シンバルでもだめなのです、鉦というのかチンドン屋みたいな金物がキンキンと鳴りちらし、埋もれない明瞭さでこまやかな音頭の揺らぎのリズムの解像度を先導します。

25ハイは食べ過ぎで「人ごこち」なんて過剰です、並の「人ごこち(人間らしさ)」を味わうならおかわりしてもせいぜい2〜3杯が普通の「人らしさ」ではないでしょうか。オバQは「大食い」の設定らしい。オツムも軽いと自虐をさらりと。消えて踊りの仲間入りとのことで、見えてなくてもあなたたちの輪のなかにオバQが人知れず加わっているのでしょう。夢がありますね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>オバQ音頭

参考歌詞サイト 歌ネット>オバQ音頭

オバケのQ太郎(ドラえもん公式サイト)へのリンク 大食いという設定はあるようです。“正太が、遊んでいた林の中で見つけた卵から生まれた”んだそう。

オバケのQ太郎 小学館サイトへのリンク

中古品を発掘すればソノシートが現在でも手に入るかも?

『オバQ音頭』を収録した『藤子・F・不二雄生誕90周年記念 藤子・F・不二雄 MUSIC HISTORY【CDBOX】』(2024)