デビュー曲のB面ソング
デビューシングル『僕のマリー』のB面曲。1645の定型の循環コード。山下達郎さんとかニール・セダカもこういう様式の音楽がお手のものなのじゃないかと連想させます。
バックグラウンドボーカルがアクロバティックで壮麗。対する岸部一徳さんのリードボーカルが素朴でコントラストをなします。タイガースのリードボーカルといえばまずジュリー:沢田研二さんが思い浮かびますがそれもまた良い意味での裏切り感、幅、フックになっています。
定型の循環コードを基盤にしつつBセクション(Cセクション)のところでⅥ♭のコードを取り入れて必要十分最低限の換気を図ります。
作詞が橋本淳さんで、本曲『こっちを向いて』においてはすぎやまこういちさんによる作曲との共同です。橋本さんの作詞は筒美京平さんの作曲と共同で数多の楽曲を残しておられる印象。橋本さんは2026年にご逝去された旨の報せがありました。残念です。
こっちを向いて ザ・タイガース 曲の名義、発表の概要
作詞:橋本淳、作曲・編曲:すぎやまこういち。ザ・タイガースのシングル『僕のマリー』(1967)、アルバム『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』(1968)に収録。ザ・タイガースが主演した同名映画のサウンドトラックでもあります。
ザ・タイガース こっちを向いてを聴く
ボーカルの描線一つひとつが埋没することなく、広い音域にわたります。それぞれに定位も分けている。ファンが聴いたらどのメンバーがどのパート、と分かるのではないでしょうか。補佐的なパートに“ジュリー”の声があるのが私にもわかります。
しゃくしゃくと軽くクランチした程度のサウンドのエレキギターのリズム、半開きくらいのかるいブリッジミュートでポキポキとはじける歯触りを提案するエレキギターのスウィープピッキング。1拍目と2拍目の裏を強調して前への推進力を出すベース。バンドに重なってオルガンか何かの音色でアルペジオしたような鍵盤プレイも奥の方で支えます。
ドラムスのプレイがまた軽い。Aセクションはほとんどハイハットとライドシンバルのみ。キメやフィルインのところだけバスドラムとスネアでドス、パコ!とアクセント。Cメロみたいになるところだけキック・スネアを交えた刻みに変わります。引き算の振れ幅を大きくしたドラムのアレンジが、メンバーのバックグラウンドボーカルとリードボーカルを中心にした軽い曲想を巧みに演出します。
曲の内容(歌詞)も本当に軽い。君のスーツとか、ペンダントをつけてあげよかとか、エクボがかわいいとかそんな具合。甘えん坊で恥ずかしがり屋な人格と歌詞のなかで主人公によって評されているようですから、歌詞の描写も“君”の中身をさらけ出したり本質を深く抉り出すようなものでなく、表層をさらっと軽く撫でさらうのみで終止している感じです。そんなところもA面を引き立てるB面という感じがしますね。ある意味GSのガワをよく象徴した楽曲でしょう。
青沼詩郎
参考Wikipedia>ザ・タイガース 世界はボクらを待っている、僕のマリー
THE TIGERS | ザ・タイガース ユニバーサルミュージックサイトへのリンク
『こっちを向いて』を収録したアルバム『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』(1968)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『こっちを向いて(ザ・タイガースの曲)デビュー曲のB面ソング【ギター弾き語り・寸評つき】』)