追伸が本意
追伸(postscript)が本意・本体・本文になるウィットを感じます。英語は比較的主体や結論が先に来る言語だと思いますが、だからこそI Love YouをP.S.に込めることで表現にレイヤーが出ます。といいつつ君への愛は本文からも明らかに察せます。あくまでトドメの一言としてI love you がはっきりとつきます。離れている相手に時間差で肉筆が届く……デジタルがあふれる現代だからこそ今こそやりたい趣向を覚えます。かつてはそれしか手段がなかったのに……
本曲『P.S.I Love You』はイントロなしでイキナリ歌です。ビートルズのオリジナルはDキー。GコードではじまってA(#5)/C#を経由してDの主和音に着地するコード進行が奇抜で天才的。普通これ思いつく?とため息が漏れる気分です。A(#5)/C#ではなくC#7などで解釈する方もいるでしょうか。ビートルズ御本家がどう押さえているのか知りません。
すでに出した歌詞やセクションのどこに戻るか、どこに到達してどこに飛ぶかの工夫で限られたセクションのパーツを活躍させ短くも聴き心地豊かに構築する楽曲構造がお見事。伝説のバンドの伝説のはじまり:ファーストシングルはB面まで素晴らしい。カツカツとスネアのリムショットのプレイが印象的なのはセッション・プレーヤーのアンディ・ホワイトの演奏だそうで、リンゴのプレイはマラカスに込められているそう。素晴らしい楽曲の外在的な要因としては唯一惜しいところでしょうか。もしリンゴがプレイしていたらどんなドラムになるのでしょう。
P.S. I Love You The Beatles 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Lennon-McCartney。The Beatlesのシングル『Love Me Do』(1962)B面、アルバム『Please Please Me』(1963)に収録。
The Beatles P.S. I Love You(アルバム『Please Please Me』収録2009 Remaster)を聴く
1小節ごとに入るコーラスがミヤビです。ギター、ベースの躍動してはずむグルーヴがすばらしい。マラカスの裏拍でモッタリと内容物がたまる質量感が出ておりつまりマラカスのニュアンスも良い。ドラムはバスドラムはなしか?ずっとリムショットを無心にくりかえし、表拍をわかりやすくします。セクションが変わっても不動のパターン。メトロノームの代わりかよというくらいに。ひょっとしてデビューシングルなのにセッションプレーヤーの自分がやってしまって申し訳ない、せめて派手にメンバーを邪魔しないように支え役に徹しようとしたのでしょうか、なんてとこまで想像するのは考えすぎ?B面曲だからこんなもんでいいか、というメンバーの空気もあったのかどうか。
それにしてもボーカルワークとサオモノ、マラカスのリズムの調和がたいしたもの。リードボーカルはやがて自由に五線に描かれる定型メロディを超越していきます。君への愛が熱を帯びていく。サウンドがモノラルにまとまっています。
青沼詩郎
参考Wikipedia>P.S.アイ・ラヴ・ユー、プリーズ・プリーズ・ミー (アルバム)
参考歌詞サイト Genius>P.S. I Love You
ザ・ビートルズ | The Beatles ユニバーサルミュージックサイトへのリンク
『P.S. I Love You』を収録したThe Beatlesのアルバム『Please Please Me』(1963)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『P.S. I Love You(The Beatlesの曲)追伸が本意【ギター弾き語り・寸評つき】』)