高校のときに一緒にバンドをやっていた友達から、ZAZEN BOYSを教えてもらった。近年、私が長澤知之を知ったのもその友達のつながりだったし、ゆらゆら帝国を聴いたのもやっぱりその友達の影響だった。
ゆらゆら帝国『バンドをやってる友達』が好き。高校の軽音部室でこの曲を教えてくれたその友人と一緒に歌ったり演奏したりしたこともあった。よく話題にした曲だ。大人になってから、その友達と飲みながら家でギターを弾いて歌いもした。この曲の朴訥とした魅力はなんだろう。
なんで私は音楽をやっているのかなと思う。
いや、そう言ってみたいだけで、ホントはそんなことを疑ったり勘ぐったりすることはない。たまに、そういう「振り」をしなくちゃ、パフォーマンスをしなくちゃ、みたいな気がしてしまうことがあるのはなんでか。そんなことを誰が強いるのだろう。
モテたい! のし上がりたい! そういった衝動でバンドを始める人もいるだろう。
でも、私は違った。うまくいえないけど、すでにそこにあったものに触れに行った(気付いたらもう触れていた)かのよう。どこか手近な街のどこかのフロアーに出て行って、やったり、観たり。徐々にそういうことをするようになり、気づいたらこの有り様。私の原風景かもしれない。この『バンドをやってる友達』という曲には、私の持つそうした背景と重なる部分を感じている。軽妙で、すごく自然なことだし、純粋なこと。
音源はバンドのバージョンと、女性が歌ってるものとがある。私はバンドバージョンのほうをよく聴いた。ゆらゆら帝国『1998-2004』(BONUS DISC M-5)に収録されている。間奏の、カリンバか木琴みたいな音色のメロディが透き通っていて美しい。
『ゆらゆら帝国のめまい』(2003)に収録されている方は、女性が歌っている。
MAMAGUITARによるボーカルだ。ベース、ボンゴ、コーラスなど、質素なアレンジが怪しげ。引き算の豊かさってあるなと思った。MAMAGUITARは、ゆらゆら帝国ギターボーカルの坂本慎太郎が設立したレーベルzelone recordsから作品を出している。
熱狂や刺激に満ちた楽曲も多いゆらゆら帝国。だけど、私がバンドをやってる友達としっぽり飲みながら話題にしたりサカナにしたりするのに最高な一曲は『バンドをやってる友達』これである。もちろん他の激しいやつも大好きなのだけど。
青沼詩郎
リンク
ゆらゆら帝国
http://www.yurayurateikoku.com/index2.html
ご笑覧ください 拙演