冗談をやる気になれない日
”一番大事なことは「つまらないことで喧嘩をするな。喧嘩をするより外で頭を冷やせ。」ということなのかもしれません。”
心構え > “大前提として、ユーモアがない記事、法的に問題がある記事または誤解させる記事は書かない。”
ウィキペディアに、「ウィキペディアンの意見」を書くページが存在するようです。ウィキペディアンという表現があること自体初めて知りました。インディアン、嘘つかないもん(?)。
エイプリルフールは嘘をついてもいいといわれます。そうかしら? いいわきゃぁ、ありません。嘘なんかよくないよ。
ジョーク吐くならウィットが大事だといいます。それ、難しいのです。嘘(ジョーク)を吐いていい、という前提が浸透すればするほど、ハードルがあがると思いませんか? 今日が4月1日だとしたら、みんな警戒するではありませんか。どうせ冗談なんだろ? と。その防御がある時点で、すでにジョークやウィットを楽しむ条件を半分くらい失ってしまうのです。ジョークやウィットを愛するのであれば、ジョークやウィットを発揮するのは4月1日以外にしたほうが良いのです。
エイプリルフールがあるせいで、4月1日がうすら寒い日になってしまっていやしませんか。ジョークやウィットを愛する人にとっては、むしろ敵かもしれません。なんでそんな日があるんだよと。ろくでもない風習だよと。
これは傑作だ! 騙されたけど実に愉快だった! エイプリルフールよありがとう! なんて実例に出会ったことがありますか? だいたいそれは悪ふざけだよとか、見え透いていて何も面白くないよとか、そういう発信のほうが多勢ではないですか?
エイプリルフールのことをこれまで私はなんとも思ってこなかったのですが、それについて何か書こうとするとやたら敵視するみたいになってしまいました。……なんとも思ってこなかったのに……
シアワセなアイディアがいいですよね。たとえば「離婚しよう」っていう冗談(にもならない悪ふざけ)より、
「結婚しよう!」
「エイプリルフールだから嘘でしょ?」
「(四月二日になって)結婚しよう!」
「嘘じゃなかったの?!」
「だから昨日も本気だったって!」
「エイプリルフール、F○CK!」
とかなりませんか(ならんか)。なんか、むしろ嘘ついたり冗談言ったりする気のない人の妨げになる気がするのです。エイプリルフールに乗る気がない人が、しゅんとしちゃいませんか? ならんか……。そんなにみんな気にしていないでしょうかね。忘れようとするほどに不思議としつこく私の頭につきまといます。
エイプリルフール ザ・リリーズ 曲の名義、発表の概要
作詞:松本隆、作曲:萩田光雄。ザ・リリーズのアルバム『小さな恋のメロディー』(1976)に収録。
ザ・リリーズ エイプリルフールを聴く
このなんとも劇的な雰囲気……どなたの作曲だったかと思ったら、萩田光雄さん、そう、久保田早紀さんの『異邦人』で私に強烈な印象を残す作曲家さんです。
“エイプリルフールでもないのに”なので、この歌は、破局をエイプリルフールの冗談だったことにしたい悲しい歌です。エイプリルフールの歌じゃないのですね、そもそも。『エイプリルフール』と主題にしておきながら、実際は「エイプリルフールの歌ではない」という点が、この歌が実は最もよく「エイプリルフール」というテーマを表現しているところです。
右から左から真ん中から、ストリングスやら金管が湧いて出ます。気分のあがりさがり、主人公の心の揺らぎです。噴出する花のように鮮やかなサウンドです。右のほうからピコピコとエレクトリックピアノのような愛嬌のあるトーンがきれのよいリズムを添え、あらがえない時間の流れやことの運びを象徴します。主人公は、きっと、あなたとの仲を回復できないでしょう。
別れを告げる意思のもとに呼び出しているわけです。「別れ話をしたいから会いたいんだけど」と、ミーティングの内容を告げて恋人を呼び出して別れ話をする人もなかなかいなさそうですが、ビジネスの常識ではミーティングの内容が伏せられたままミーティングが決行されるなんてことはまずありえません。
いつもなら腕を組んだ二人なのでしょうか。いったい今日はどうしたものか。ただ、逢引きを楽しむ機会ではない消沈した雰囲気は何か。嘘であってくれよ。
リリーズのおふたりのボーカルのバランスが対等で、サビの上ハモと主旋律が同じくらい出ています。主人公の気持ちと、相容れない、抗えない現実か。これがエイプリルフールであったならば……それは悪い冗談の極みでしょう。
青沼詩郎
『エイプリルフール』を収録したザ・リリーズのアルバム『小さな恋のメロディー』(1976)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『エイプリルフール(ザ・リリーズの曲)ギター弾き語り』)