ひとりひとりが固有の宇宙

子供とは不便な気持ちと闘う生き物です。親(保護者)の監督下にあるのですから、自分ではこうしたいと思ってもその通りにいかないことがあります。

親はある程度現実を知っています。子供の希望が現実に即さない場合、子供の希望を却下することがあります。同時に親が子供の希望を通さないのには、単純にそれをしたくないといったエゴのような次元の意思である場合もあるでしょう。

親は子供を尊重してあげる必要があります。同時に、子供をひとりの権利ある尊い存在であるとみなせばみなすほど、逆に子供以外の存在も同様に尊重すべきであることが際立ってきます。

「子供だから」ということを理由にその尊厳を無下にしてはならないのと同様に、「大人だから」とか、「犬だから」とか、「ザトウクジラだから」とか「ミジンコだから」といった肩書き(?)によってその尊厳を過小にみたりしてはいけないのです。

ですが、現実に即した判断をないがしろにしては世界がおかしいことになります。この場から一歩でも歩けば、その足の裏の微生物たちをことごとく蹂躙することになるので私はもう一生ここから一歩も動きません、とはならないでしょう。

私も微生物も尊重されるべきですが、私は私を幸せにするために生きる権利がありますし、微生物でもマッコウクジラでもなんでも一緒です。「子供」であってもそれは同様です。並列の対象が飛躍しすぎ?

また、「子供」とひとくくりにするまえに、ひとりひとりの子供に名前があります。私には青沼詩郎という名前がありますし、あなたにも固有の名前があるのです。個々は独立した存在であり、それぞれがひとつの惑星であったり銀河であったりするのです。それでいて、個々が共通の世界を成すピースでもあります。

ビューティフル・ネーム ゴダイゴ 曲の名義、発表の概要

作詞:奈良橋陽子・伊藤アキラ、作曲:タケカワユキヒデ、編曲:ミッキー吉野。ゴダイゴのシングル(1979)。

ゴダイゴ ビューティフル・ネーム(『GODIEGO GREAT BEST 1』収録)を聴く

コーラス、メロ、ブリッジの対比、光陰のつけかたがずば抜けています。『モンキー・マジック』を聴いても『銀河鉄道999』を聴いてもゴダイゴがとんでもない技巧とハイセンスの持ち主であることは明らかですが、あらためてこのキュートでポップでハッピーな『ビューティフル・ネーム』の全容にゴダイゴの大衆と音楽への愛情の底深さに感服します。

コーラスとメロはだいたい一緒ですかね。Cメージャー調で大衆にやさしい。「C,G,F,C」と「C,F,G,C」と、スリーコードの並びを小違いさせて、短いカデンツで運んでいくメロ・コーラスのパターンが愛です。

これにカウンターするブリッジがまた良い。しれっとGメージャー調に転調し「Am,D,G,Em」と逆循環っぽい運びであか抜けています。ビート感も間引いてメリハリをつくります。

2拍子のビートを感じます。ベースの短く切るプレイが躍動を生みます。金管楽器のメロメロなスウィングと陽気なフィールが映えます。

ブリッジからコーラスにつなぐところでGの保続するベース。元調のCメージャーのドミナントに尺を割いて、シンプルなコーラスが激映え。アタマの主和音のCが気持ち良い。

子供の笑う声なんかが福音です。このまま気が遠くなって永遠に眠ってしまいそうな心地よさ。意識が輪廻に溶けてしまいそうですがコーラスに戻ってきます。

とてもモチーフがはっきりしているのに、万国に通ずる普遍的な主題でもあります。私的でもあるのに、公的でもある。アーティストがただ日々身の周りの書きたいものを書く活動のなかで生まれる楽曲ではないように思えます……と思って検索するに、「国際児童年」(1979)のために書かれた楽曲だといいます(参考Wikipedia)。これはのちの児童の権利に関わる条約につながる出来事だといいますから、いち音楽産業を超越した世界的な史実の一部だと思えます。

ビューティフル・ネーム 歌詞に思う あなたを認める知性

“今日も子どもたちは、小さな手をひろげて 光と、そよ風と、友だちを呼んでる だれかがどこかで答えてる その子の名前を叫ぶ 名前 それは燃える生命 ひとつの地球にひとりずつひとつ Every child has beautiful name a beautiful name, a beautiful name 呼びかけよう名前を、すばらしい名前を”(ゴダイゴ『ビューティフル・ネーム』より、作詞:奈良橋陽子・伊藤アキラ)

頭の中では英語のボーカルミュージックが鳴っていて、そこに日本語を呼び込むとこうなるのでは? という言葉のノリ方を感じます。思考する脳のネイティブが英語で、第二言語が日本語という感じ。日本人の表現者の多数派はこうはならないでしょう。日本語の中に英語が混じると「背伸びした!」感が匂う作品に出会うことがしばしばありますが、ゴダイゴの場合は逆です。英語が出てきて「本領出た!」となる感じがカッコイイ。

子供のまわりが命のきらめきで満たされた情景、子どもも大人も、命の個体それぞれが一つの星であり宇宙であるのを思わせるラインです。

個体を認識・区別し、より高度で細やかなコミュニケーションを可能にする観念が「名前」ではないでしょうか。群れ一帯を「種」としてザル勘定している限りは、個々の名前などお呼びでないのです。人類の知性と尊厳を爽やかに象徴的に抽出した軽快な楽曲が見事です。

青沼詩郎

参考Wikipedia>ビューティフル・ネーム

ゴダイゴ GODIEGO 公式サイトへのリンク

参考歌詞サイト 歌ネット>ビューティフル・ネーム

『ビューティフル・ネーム』を収録した『GODIEGO GREAT BEST 1』(1994)

『ビューティフル・ネーム』の英語バージョン『EVERY CHILD HAS A BEAUTIFUL NAME』を収録した『GODIEGO GREAT BEST 2』(1994)。同時代の第一線の洋楽アーティストあるいはそれ以上の言語と音楽の感覚・サウンドに敬服です。それぞれを1枚の作品としてマスタリングする都合か、英語バージョンのほうが若干音圧高めに感じます。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ビューティフル・ネーム ギター弾き語り』)