友部正人のことは、かもめ児童合唱団のカバーがきっかけで知りました。

かもめ児童合唱団は神奈川県三浦市三崎を地元とする、1972年に結成された合唱団。4歳〜13歳の児童で構成されます。

2004年に三浦へ移住した音楽プロデューサーの藤沢宏光。2008年にかもめ児童合唱団と出会い、その年から、レコードやCDをリリースするようになります。合唱団は彼らの地元にゆかりのある北原白秋や小村三千三作品を歌いますが、ポップスやロックやフォークほかのカバー曲のセンスが光ります。その明かりがいま・ここ2020年の西東京に暮らす私のもとに届きました。

そんなわけで、キャリアを持ち多くのミュージシャンたちの尊敬を集める友部正人のことを、私がきちんと知ったのはここ数ヶ月。お恥ずかしながら(でも、これを読んでいるあなたがもし彼を初めて知る人でも全然恥ずかしくないですよ)。

(これまでにも友部正人の曲やかもめ児童合唱団に関わる記事をいくつかこのブログで書いているので、フッターのほうに関連記事が表示されることと思いますし、ご関心がおありでしたらサイト内検索で「友部正人」や「かもめ児童合唱団」と入れて検索してみてください)

朝は詩人

『朝は詩人』は、友部正人が1994年に出したアルバム『奇跡の果実』に収録されています。シングルも同じ年、アルバムに先駆けて出しています。

曲は、その年のJRAのイメージCMソング。

そのことを知らないで聴いて、その詩に魅入っていました。

でもそのことを知って詩を眺めると、気になるワンフレーズがありました。

夜明けの景色につながれて 子馬は水を飲んでいる(『朝は詩人』より、作詞:友部正人)

2コーラス目の平歌の折り返し。子馬が水を飲んでいるというフレーズ。JRAのCMソングだという事実を知らないときにも、このフレーズは気になっていました。歌に、どこか、異国の土のにおい、生活の影をもたらしています。「(子)馬」は、私にそれを感じさせます。自分の日常を埋めるピースに「馬」がない(ないことはないが縁遠い)ので、そこに「物語らしさ」や非日常を感じもします。私が競馬を好きな人、乗馬をする人、牧場関係者などだったら、また違った印象を受けるのでしょうかね。

「馬」が遠いところの情景を私に思わせるのですが、友部正人の歌声は強く私にはたらきかけます。それは、歌の物語がもたらす「非日常感」とは対称的で、近く、自分のことのように響くのです。彼の歌には、彼の書く言葉には、詩の理がある。り。ことわり、とも読みます。理性の理。真理の理。そんなことを思います。

ミニレポート・芋煮ロックフェス2020

11月15日、神奈川県三浦市三崎で『芋煮ロックフェス』がおこなわれました。かもめ児童合唱団が出演し、『朝は詩人』をセットリストに含めて歌いました。私は念願の彼らの生合唱を初めてみることができたのです。ほか出演者に川本真琴、入江陽。いずれも初めて生で見ました。

路地脇の駐車場にパイプ椅子を並べた手作りのステージ。見上げると青空にはたびたび、空中をよぎる海鳥の軌跡や群れ。芋煮と日本酒が極上。非日常を味わいました。音響席にはかもめ合唱団プロデューサー・藤沢宏光の姿。

ステージトークや、地域を舞台にしたオリジナルのオーディオドラマの披露もありました。転換中のBGMの選曲、合唱団の児童(?)の声の録音による会場留意事項案内、山形弁+標準語の二重音声による芋煮調理法の紹介など、ステージ外の時間に渡って、遊び心や楽しい仕掛けが通底していました。

藤沢宏光はステージトークで、最近入院生活があったと語りました。彼が入院生活中に鑑賞した韓国ドラマが『愛の不時着』。今回の芋煮ロックフェスで初披露されたオーディオドラマはそのパロディで、タイトルは『ただの不時着』。グライダーで神奈川・三浦三崎に不時着した女性が地元の生臭い男に助けられる話。登場人物の彼女が不時着時に引っかかったとされる電柱は、芋煮ロックフェス会場の駐車場に実在する古い木製のそれをモデルにしています。地元の来場者風の女性客が、会場のスピーカーから流れるオーディオドラマ鑑賞中に物語の内容に反応して「嫌だぁ」と楽しげに笑い声をあげていたのが微笑ましく印象的でした。

かもめ児童合唱団公式Twitterより

https://twitter.com/btzitpbsptjxrtb/status/1328169185579474944?s=21

Sunset Crimson

去年はこんなパフォーマンスがおこなわれていたんですね。これも生で見てみたかった! 三崎では近年「芋煮ロックフェス」、昨年度から改称された「三崎港の夕日と音楽 Sunset Crimson」が開催されています。今年は大掛かりな「Sunset Crimson」はありませんでしたが、こじんまりと開催した芋煮ロックフェスも大変良かったです。来年はSunset Crimsonが開催できることを期待します。規模も出演者数ももっと多いのだそう。

青沼詩郎

『朝は詩人』を収録した友部正人のアルバム『奇跡の果実』(1994)

青沼詩郎Facebookより
“友部正人のシングル、アルバム『奇跡の果実』収録。JRAイメージCM曲(1994)。私が友部正人をしっかりと認知したのは恥ずかしながらここ2、3か月のことで、そのきっかけをくれたのはかもめ児童合唱団。『すばらしいさよなら』(作詞:友部正人、作曲:宮沢和史)『朝は詩人』(作詞・作曲:友部正人)をカバーしています。友部正人のホームページhttp://www.tomobemasato.com上の作品カタログを眺めていると知った名前が連なり、彼の詩と音楽がもたらした影響や関わりの大きさを思います。なんで私はずっと知らないで来てしまったのか。彼がメディアにギラギラと露出なさらないからだと思いますが、私がちゃんと音楽を求めるようになったのがここ最近なので…自分にそのアンテナがなかっただけかもしれません。いずれにせよ、遅かろうとなんだろうとキャッチできて良かった。名曲です。”

ご笑覧ください 拙カバー