くるりが突然新曲を出した

10日にくるりメンバーが「0時に発表(お知らせ?)がある」といった旨のツイートをしているのを見ました。そののちの11日0時になると、新曲『益荒男さん』の配信解禁だったことがわかりました。

京都音楽博覧会で聴いた『益荒男さん』

毎年京都梅小路公園で開催してきたくるり主宰の「京都音楽博覧会」も今年はリアル開催を避け、収録したライブを配信というかたちをとりました。

その際のくるりのライブで、この『益荒男さん』を披露していました。ですので、この曲が新曲として突如リリースされたこと自体は驚きでしたが、発表(お知らせ)の正体を受けて「(あのときの)これか!」と私は思いました。京都音博2020が9月20日でしたから、あれから2か月足らず。くるりはこの曲のレコーディングをいつの間にか済ませていたのです。

音のあそびに着目した視聴メモ

京都音博でのライブではくるりメンバーとサポートメンバーによる生演奏のサウンドでしたが、作品に落とし込まれてさまざまで豊かな遊びのサウンドが入りました。

0:18 “だいじょーぶ あれ?あれ?” 変声で。

0:28 世界的有名人、任天堂のゲームに出てくる赤い帽子にオーバーオールがトレードマーク、ヒゲダンディキャラが、キノコの力で体を大きくする際の効果音を思わせるサウンド。“男性のサイズ感は”という歌詞の流れでこの演出…わろてしまいます。

0:48 サビの出口“慈悲なき慾心桜散る”のところで怪しい呻き声。ビールを煽ってグラスを元の角度に戻したときか、あっついお風呂に体を沈めた時くらいにしか出なさそうな声…よりも数倍低く・怪しく・悪い感じがします。あるいは、仮に「死」に快楽がともなうのだとすれば、その瞬間に出てしまう声ってこんななのかな。

0:50 先程の呻きの直後、ちょっ早回しの変声で“かならずはるはくる!” MVではスワン(???)風ボート(足生えてるwww)に乗る主人公(益荒男さん?)風の男性。井の頭公園の池を私は思い出します。

0:56 “痛勤電車”に飛び込んだ男性を乗せて発進する際の電車に合った効果音。いや、ミスマッチ?この音で発進する電車、どんなやねん…(足、足! 下駄かわいい)

1:15 “益荒男のピンポイント突きまくり”直後の“あん”。益荒男さん、突かれてこんな声出るんですか?

1:35 “V字を夢見て谷間からポロリン” 直後にも“あん”。この声、ファンファンさん担当でしょうか…?

1:53 サビの出口、MVのスロットの絵柄が合わなかった風の演出のところで下降音形。残念感。

2:18 絢爛優雅なハープのグリッサンド。先程の残念感と対称的。“みんど?”(※1)とMVの字幕に合いの手の歌詞?が記されていますが、私には聴き取れません…変声(※2)、入ってますか? 標準的日本人よりも数ポイント低いのは「民度」のことかもしれないとうかがえます。主語は益荒男さんで良いでしょうか。「民度」ってなんだろうとふとその真意に立ち返ります。生活の程度? 教養? つよくたくましい男を意味するのが「益荒男」とういうことばだとしたら…つよく・たくましくはあれど、民度は低い。考えさせられます。(※1 正しくは「看んど?」と表記。健康状態の指標となる何らかの数値が低いなら看ましょうか? というのが順当な解釈でしょうか。「くるりのツドイ」で岸田繁氏の心拍数は平均より低いと語られたエピソードを思い出します。)(※2 低い声で入っているそうです。)

2:25 ちょっ早まわしで一瞬なので気付きにくいですが、たびたび出てきている「変声」で、ねずみの笑い声のような表現が入っています。直後に歌詞“わろてる わろてる”。

2:35 流れ星を演出するかのような、「しゅーしゅー(ひゅーひゅー?)」降り注ぐ印象の下行音。「おあ」と聴こえる母音の声。マリオのキノコ取得音、電子的なビープ音風。歌詞は“りんりんりん りんりんりん 出口へ急げ” 聴いているほうも急かされる気持ちがとてもあおられます。

2:47 前にも出た、ハープの絢爛優雅なグリッサンド。歌詞は“権利と幸福デフォルトの当院さん”。前のサビに出てきた“権利と幸福だーい嫌いな東院さん”と対称的。MVに描かれた「当院さん」は恰幅よく見えます。流れ星を思わせるチラチラと点滅しながら下行する感じの効果音もクロス。

2:57 エンディング。ほわんほわん(ぽわんぽわん?)と上がって行く気泡を思わせる感じの効果音?(気のせい?) ハープのグリッサンドはこれでもかと。アドリブ感あるギター(ひょっとしてエレキ・シタール?)のリード。半終止のままフィニッシュ!

くるり 現在形のオッペケペー節

京都音博のオンラインライブでこの曲と私は出会いました。録音版は歌詞を意識した音のアソビがもりだくさん。全編にわたって要所に入る、ミュート?を装着した「ホンワカパッパ」感あるファンファンのトランペットが重要な役どころです。歌詞はどこをとっても現実の比喩を見出せる、楽しくも辛辣な風刺満載の奥深い曲です。この1週間ほど、ひっきりなしにリピートして聴きました。ネタ元?、明治時代の「オッペケペー節」を見事現在形のくるり節にしてくれました。すばらしい彼らのレパートリーがまたひとつ。

青沼詩郎

くるり 公式サイトへのリンク

http://www.quruli.net/

くるりのMV集『QMV』(2020年9月23日発売)

ご笑覧ください 拙カバー

青沼詩郎Facebookより
“10日「0時に発表がある」といった旨のメンバーのツイート後、11日0時に突如配信。9月の京都音博で演奏があったくるりの新曲『益荒男さん』。Cマイナー調、サビ頭でE♭メージャーっぽくなりまた戻る。歌詞のフック、オノマトペの破裂音の与える印象の濃さが際立つ。調べてみるとオッペケペー節(明治時代)というネタ元があるよう。見事におもしろおかしく、くるり節、しげる節になっていて痛快。歌詞はどこをとっても何かの比喩を思える。高濃度な風刺ソングにもとれるし、言葉と音の遊びとしても楽しめて奥深い。結びの文句”心に自由の種を蒔け”が、遊びや風刺の側面ごと歌を高みに押し上げる。ひたすらに気持ちが良い。この一週間くらいヘビロテでリピートして聴きまくった。おおえさきによるMVもおもしろかわいくてシュールで可笑しい。”

くるりのシングル『コトコトことでん / 赤い電車 (ver. 追憶の赤い電車)』(2020年12月25日発売)