SUEMITSU & THE SUEMITH『Astaire』(2006)

2000年代 TVドラマテーマ曲 ベストというプレイリストにSUEMITSU & THE SUEMITH『Astaire』があった。

エレクトリックギターの同音連打のカッティングのオープニング。ストリングス。ピアノのストローク。ダブったボーカル。

サビのリフレインが利いた歌い出し。解放感あるコードのうつろいが秀逸。あれよあれよと率いられて、いろいろなところに連れて行かれてしまう感じ。それも、夢のある場所に。

曲名の『Astaire』はフレッド・アステアから。フレッド・アステアはエンターテイメント・スター。アメリカ出身のダンサー・俳優・歌手

「夢のある場所に次々と連れて行かれてしまう感じ」は、リスナーとして非常に的を射た受け取り方かもしれないと我ながら思う。そう、フレッド・アステアがたくさんの聴衆をそうして魅了したように。

MVの撮影はニューヨークでおこなわれた。本人(SUEMITSU & THE SUEMITH:末光篤)による解説の入った動画。解説抜きの原曲はめいめい手繰り寄せて聴いてみてほしい。

末光篤がニューヨークの市街をどんどん歩いて行く。「どんどん、色んな場所に連れて行かれる」イメージによく合っている。解説PVで語られているように、外を歩く映像にすることを本人が提案したよう。映像から読み取れる以上のさまざまなエピソードが語られていて、私も現場に立ち会った気分になった。

末光篤 SUEMITSU & THE SUEMITH

SUEMITSU & THE SUEMITHは末光篤と乗り降りのあるメンバーによる音楽ユニット(実質ソロユニットか)。

末光篤(SUEMITSU & THE SUEMITH、もしくはThe Suemith)の活躍を辿っていくと、これまでに私もその仕事に触れていたいくつかの機会に気付く。

木村カエラ『Butterfly』

木村カエラ『Butterfly』の作曲は彼の仕事。作詞は木村カエラ。

歌メロの半音や全音の順次進行が滑らかで美しい。それを目まぐるしいルートの上下や転調で華やかにしている。祝祭と多幸を感じる。

末光篤によるセルフカバー。ルートの進行、キーなどの変更がある。パリの路上で。

MOSH PIT ON DISNEY

ディズニー曲のカバー・コンピ。2004年7月28日リリース。末光篤はこの企画のプロデューサー。自身もThe Suemithとして『PART OF WORLD』(『リトル・マーメイド』より)で参加。

当時、私は高校生だった。バンドをやっている友達がコンピをまわしてくれて聴いた。the band apart(当時、私は『Eric.W』が入った彼らのアルバム『K.AND HIS BIKE』を繰り返し聴いていた)による『GIVE A LITTLE WHISTLE』(『ピノキオ』より)が入っているし、LOW IQ 01『A WHOLE NEW WORLD』(『アラジン』より)もカッコ良かったなと思い出す。

このコンピを仕掛け、実現させたのも末光篤だったのだ。

タイアップ、作・編曲、プロデュース・ワーク

SUEMITSU & THE SUEMITH『Astaire』は『花嫁は厄年ッ!』(TBSドラマ、2006年)主題歌。アニメ『のだめカンタービレ』に『Allegro Cantabile』『Sagittarius』が起用(2007年)。そして木村カエラとの『Butterfly』(2009年)と活躍めざましい。安藤裕子HAPPY』(作曲)、GOING UNDER GROUNDならば青春の光』(作曲・編曲)ほか、作・編曲・プロデュースワーク多数。(参照:末光篤 公式サイト

バンド・アレンジメントのセンス、コード・ワーク、熾烈なピアノ・プレイ、あか抜けた歌唱のダブ・サウンド。私はすっかりファンになってしまった。

青沼詩郎

フレッド・アステアのタップ・ダンス
『Astaire』を収録したSUEMITSU & THE SUEMITHのアルバム『The Piano It’s Me』(2007年3月21日発売)