1995年2月6日発売の福山雅治の10枚目のシングルです。このシングルまでのシングルとそのカップリングをまとめたAB面集?『M-COLLECTION 風をさがしてる』にアルバム初収録。作詞・作曲:福山雅治、編曲:佐橋佳幸。
原曲リスニング・メモ
ベーシックリズム
右と左にダブって振ったアコースティック・ギターのストロークが音の位置を幅広にしています。
打ち込みのドラムスがカンカンと甲高く響きます。プログラミングの音ですね。
ベースはカドのまるいコシのある音です。ストロークのアタック控えめで高域は排した音作りかもしれません。
ウワモノ
サクソフォンはイントロや1番と2番の間などでのベースとのユニゾンプレイ、サビの後半(♪まだだれもしらない…のあたり)にいます。間奏では華ですね。登場シーンを絞り込んで、イイ場面にオイシイ音を添えたり間奏では中央に音の描き込みをしています。間奏での音作りは照りのある色っぽい音で、歌のあるところでのオブリガードとは存在感を大きく作り分けています。
オルガンがポヨポヨピチャピチャとした特徴のある音で平歌のボーカルに合いの手します。16分音符の細かいフレージングを見せます。60年代くらいの洋楽を思わせるようなピーピーピピーという感じのオルガンもいて、そちらはイントロやアウトロで存在感あります。
ピアノのストロークも要所で目立ちます。サビや間奏にいるようです。間奏の終わり際やエンディングの2拍3連のキメのフレーズのストロークでは特に存在感が大きいです。
サビの終わりのフレーズ(♪きみとえがおつかまえるのさ…のあたり)、その終わり際で目立っている、すばやく断続的にオン・オフするシンセ音? 2コーラス目の平歌の折り返し(♪だからしかたないよ そして信じてる……のところ)で右と左でキャッチボールするような音。非常にさりげなくて芸が細かいです。プログラミングかキーボーディストの音か微妙にわかりかねます。エンディングなどでハープ(竪琴)のかきまわす音分散和音のようなグリッサンドのような音が聴こえます。これはおそらくプログラミングでしょうね。
2コーラス目のサビ前(♪つのるおもいあふれて…のところ)ではでカリンバ? もしくは木琴・マリンバのようなコロンとした音も聴こえます。ボーカルとユニゾンした2拍3連フレーズを彩っています。
ベル、ティンパニが聴こえます。打ち込みで出す場合もありそうな大型楽器ですが、パーカッショニストの演奏でしょうか。キメどころを派手にする、大型飛び道具ですね。コードの根音や第5音、その調の主音や属音を強調するのに良い楽器です。
エレキギターもいますが非常に奥ゆかしい役割です。サビで小節の1拍目にシャーンとクランチトーンのワンストロークで全音符しています。サビ前(♪かなわぬゆめかぞえて…)でグループ・サウンズのような音でユニゾンしているのもエレキでしょうかね。2サビ後間奏前では低いポジションで短2度フレーズ。間奏でサクソフォンの出囃子をするかのようなリードトーンのピック・グリッサンドの「ここぞ」感に笑ってしまいました。左から右に定位を振っているようで芸が細かい! サクソフォンソロの後半に移勢リズムのアルペジオがいます。
ボーカル
適度なディレイがふわっと余韻し気持ちいいです。
サビでハモりボーカル。合いの手のようなコーラスボーカルもいて、低音域を減らして中高域に比重のあるキャラづけされた音です。メインボーカルとの棲み分けですね。コーラスがかった音像の輪郭線を揺らしたサウンドです。
感想
私は1986年うまれ。曲のリリース時、1995年は9歳。モロ、わたし世代のザ・90s-JPop。これぞ! という感じで、年の近い友達と必ずやわかりあえる曲のひとつです。
当時からそう認識していましたが、最近、2000年代くらいまでの歌謡やポップをたくさん収録した歌本をめくっていて出会い直しました。コードメロディ譜がのっているのですが、その旋律線がキレイ! サビ前の「♪かなわぬゆめかぞえて ねむれないよる」の2拍3連の歌メロや、サビ終わりの♪きみとえがおつかまえるのさ…のメロディの印象付けの妙技にその場でのけぞったほどです。テレビスターというイメージを福山雅治に対して強めに抱いていましたが、イヤイヤ、彼はとんでもなく素晴らしい感性を持ったシンガーソングライターだと、今更ですが激しく見直しました。いーまーさーらー!!
青沼詩郎
福山雅治のシングル『HELLO』(1995年2月6日)
『HELLO』を収録した福山雅治のベストアルバム『M-Collection 風をさがしてる』(1995年6月9日)
ご笑覧ください 拙演