私が行った高校には学食があった。都立高校としては珍しかったと思う。円形校舎と呼ばれる、その名の通り円筒形の2階建て(くらいだったかな?)の建物が敷地の真ん中、円形じゃない校舎に囲まれるような感じで建っていて、その1階に学食が入っていた。「山田うどん」と私たちは呼んでいた。あれは、チェーン店の「山田うどん」が業務を請け負っていたら私たちはそのように呼んでいたのだ、という真実を想像するけれど、あの頃それを疑って真相を確かめようとする者はいなかった、少なくとも私の知る限りでは。あれ、果たして本当に「山田うどん」が業務を請け負っていたから(通称)「山田うどん」だったんだろうか? 昼に温かいそばを注文した時、午後ずっと口の中や胃の中が生の長ネギのフレーバーで満たされ続けるのを懸念してカウンターの向こうのおばちゃんに「ネギなしで」と伝えて商品を受け取る、というのを何度か繰り返したのち、ある日も同じように「ネギなし」をおばちゃんに伝えたところ「お母さんが悲しむから」という理由で「ネギなし」を拒否されたことがある。

山田うどんが仮に業務を請け負っていても、都立高校のナカだからデカデカと例の黄色っぽいヤジロベーみたいなキャラがあしらわれた、路面店と一緒の看板を掲げることは難しかった…という事情はなんとなく想像がつく。真相はどうだったのだろう。

高校の校舎内には、清涼飲料水の自動販売機があった。学食はなくても、それくらいならどこの高校にもあることを想像するけど私はひとつの高等学校にしか通ったことがないから分からない。

とにかく自販機があって、そこでへんなビタミン炭酸ドリンクみたいなのを買ってよく飲んだ。「変な」とは失礼した、大変気に入って、頻繁に買って飲んだ。「ドデカミン」だったか、それとも違う似た商品だったか思い出せない。とにかく、「オロナミンC」じゃなかった。あれは容量が小さい。だから割高なのだ。味は素晴らしいと思うけれど、容量が小さく割高であることを理由にあまり高校生の私はオロナミンCを買わなかった。買うのは高校の自販機にあったアレだった。うん、たぶん「ドデカミン」…かそれ以外。「デカビタC」だったっけな。好きだった。

「オロナミンC」のCMに森七菜という女優が登場している。YouTubeを徘徊していたらMVがあった。

原曲はホフディランのデビュー作(1996)。

いじらしさに満ちた最高にキャッチーな名曲だと思う。森七菜バージョンは原曲よりややアップテンポ、だけれどもホフディランをプロデューサーに迎えて、アコースティックでポップな手触りは本家同様大変魅力的、かつ元気ではつらつとした仕上がり。聴いたかんじ、ご本家がコーラス参加しているかな?

森七菜は新海誠の劇場アニメ『天気の子』で天野 陽菜役。岩井俊二監督最新作映画『ラストレター』主題歌『カエルノウタ』も歌っているが、カップリング曲の『あなたに会えてよかった』の作詞者に小泉今日子とあってびっくりした。一級のポップ感を仕掛けた作曲者は小林武史。なんとまぁ。

オロナミンCの『スマイル』のCMにはバージョン違いがいくつもあるが、校舎の屋上みたいなところにキーボードを広げて歌い出すものがある。これはご本家のMVがコンビニの店内にギターとキーボードを持ち込んで音楽をはじめてしまうという演出になっているのを意識したのかもしれない、なんて邪推する。

青沼詩郎

ホフディラン
http://hoff.jp/

森七菜
https://www.morinanamusic.com/

ご笑覧ください スマイル カバー