クリスマスシーズンの頻出ソング

2023年3月のある時期を過ぎて、その春に背を向け夏をまわり秋を駆け抜けて、私の住む街の中やその一帯で演奏する機会が:2020年頃からぱたりと途絶えていたその機会が、いつの間にか増えてきたように感じています。

最近いただいた保育園で演奏する機会の主催者からのレパートリーのサジェストとして、園児たちがすでに親しんで認知している曲としていただいたリストの中にあったのが『ジングルベル』。『ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー』くらいに有名な曲のひとつなのじゃないかと思えます。

誰がオリジナル歌手なのかも判然としないほどに数多歌われて来ています。1900年代のSPやLPのレコード、カセット、CD、しまいにはMP3などのデータ形式などの媒体の発達とともに進む商業音楽が発達するよりもずっと前に誕生していた歌で、「歌手の誰々が最初にレコードを出した歌」といった流通のしくみに則した発表の形式が馴染む前の社会ですでに生まれていた歌なのです。ヘンリー・クレイ・ワークさんの『大きな古時計(Grandfather’s Clock)』なども1800年代中期以降に生まれた歌の例として思い浮かびます。

1800年代からあった歌が、後世で盛んに歌われている。私の住むベッドタウンの商業施設でもどこでも、市井の人の集まる場所でなら自ずと出会う可能性のある歌なのです。あなたの住む街もしかり。

ジングルベルをたどる

1857年、作詞・作曲:James Pierpont。 日本語詞:宮沢章二。日本語詞の作詞時期は、宮沢章二氏が旧大宮市(現さいたま市)に転居した昭和32年(1957年)以後の頃だといいます(参考:羽生市サイトのファイル)。

参考サイト 世界の民謡・童謡>ジングルベル Jingle Bells 歌詞の意味 和訳 クリスマスソング/James Pierpont(1822-1893) 広く歌われているがあまり、起源がわかりづらい童謡などについて広く考察しており私が気に入ってよく訪れる上記のサイトをみてみます。

牧師のジェームス・ピアポントが教会でおこなう感謝祭のために作った歌だといいます。歌の内容の焦点は、ずばりソリ遊びです。ヴァースはソリから転げるとか、ソリを引く馬が雪に突っ込むとか、転げた主人公を一笑して立ち去る紳士とかが出てきます。笑い声、といったモチーフでソリ遊びを主人公らが楽しんでいる雪景色。

馬がモチーフとして出ます。クリスマスシーズンにソリとくれば、サンタとトナカイがセットになって浮かびますがなのですね。ヒヒン。

“Jingle bells, jingle bells, jingle all the way! Oh what fun it is to ride in a one-horse open sleigh.”(『Jingle bells』より、作詞:James Pierpont)

というのがコーラスです。とにかく、鈴(Bells)が鳴る、楽しい。ソリに乗って、開放感である。馬と行くぜヒャホウッ。というのに尽きます。表拍で鈴を鳴らして、疾走するように軽快に演奏し、歌って体をころげさせたいですね。

ビング・クロスビーを聴く

これは面白い。鈴、というかチリチリけたたましく鳴るのはトライアングルっぽい音色に聴こえます。軽快極まるテンポ感でヴァースをすごしますが、コーラス〜次のヴァースは軽快なビートに乗りながら歌の音価を倍にして、引き伸ばしています。バイテン(倍のテンポ)やハーフテンポ(半分のテンポ)に曲調を変えるときは、オケと歌の両方をそのテンポにするアレンジにはしばしば出会いますが、オケが軽快なまま、歌だけこうして引き伸ばしてみせたりするとは意外です。女声と男声がスマートに入れ替わります。メリハリのある演奏。後ろのほうのコーラスで「このままフェイドアウトしちゃう?」と思わせるボーカルのディミヌエンドが見事です。フェイドアウトなんてことはない。けたたましく金管楽器が華を散らします。クラリネットも樹々の間をスリリングに滑り抜けるようで軽い身のこなしが見事です。

青沼詩郎

参考Wikipedia>ジングルベル

『Jingle Bells』を収録したBing Crosby『White Christmas』。タワーレコーズ・オンラインの商品ページをみるにオリジナル発売年は1955年。私の使っているApple Musicサブスク上のオリジナル発表年は1945年となっています。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Jingle Bells(”ジングル・ベル”)ギター弾き語りとハーモニカ』)