フォークルみたいな沁みる唄

フォーク・クルセダーズの名曲と言われて紹介されても信じてしまいそうです。『悲しくてやりきれない』のようなポジションがこの曲だったパラレルワールドがあっても然るべきと思います。平易で普遍でしんみりとした情緒に満ちた美曲。ダイアトニックスケールを基調に、要所でペンタトニックスケール的な唄いまわしを取り入れたメロディは50年、100年残る童謡・民謡のよう。

やまがたすみこさんは歌のお姉さん的、情緒表現と音楽的秩序のコントロールの利いた凛とした歌唱だと思ったら実際NHK で”うたのおねえさん”としての出演歴があるそう。

やまがたさんのファーストシングル曲でありファーストアルバム『風・空・そして愛 やまがたすみこフォーク・アルバム第1集』に収録されています。みずみずしく確かな歌声からもそうですし、アルバムタイトルの命名のされかたからも森山良子さんのような扱いを(音楽出版やアーティストプロモーション的観点において)意識したのかなと想像させます。

風に吹かれて行こう やまがたすみこ 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:山県すみこ。やまがたすみこのシングル、アルバム『風・空・そして愛 やまがたすみこフォーク・アルバム第1集』(1973)に収録。

やまがたすみこ 風に吹かれて行こうを聴く

素養・教養・技術の同居、品性も感じますが攻めた元気娘という挑戦的な感じも透けて見え、箇所により声のニュアンスの変化、幅が魅力的なやまがたさんの歌唱。

左のほうにハープシコードの絢爛な音色が定位します。右定位のアコースティックギターが対の関係。出だしからしばらくはスリーフィンガー系のプレイでしゃわしゃわと線の細い音色。途中からぱら〜んとストラミングのプレイに変わります。

イントロなど曲の印象を占めるエアリードはポーっという発音の瞬間や響きの芯の質感的にリコーダーかと思いましたが箇所によってはやっぱりオカリナかな?と私を惑わせます。両方使ってたりするようかどうなのか。いまだに音色だけで両者の判別に惑う私です。「風」モチーフを表現するお供としてオカリナはおあつらえ向きの楽器ですね。ダ・カーポの名曲などにも登場していた記憶がある楽器です。

ヴァイオリンのピチカートにチランとグロッケンが重なる。高音域を担当する楽器づかいの意匠が魅力的です。

ボーン・ボボーン……とリズムと低域はエレキベースがにないます。キック・ドラムはおそらく不使用。左寄りの定位でカツっとスネアのリムショットが短くしとやかに鳴ります。シュカシュカ……とマラカスなどの振りものがハイハットのような恒常的な分割のテクスチャを描き込みます。

リズムの熱量の起伏は全体に緩慢。瞬間的にみたら嵐のような風がふくことがあっても、100年1000年単位でみたら風の動きも均されてくるでしょう。長く残る童謡や民謡のような曲想を私が感じたのはメロディの美しさのみによるもの以上に、こうした恒久でおだやかな波のようなリズム面での起伏のおだやかさによるのかもしれません。

青沼詩郎

参考Wikipedia>やまがたすみこ

参考歌詞サイト 歌ネット>風に吹かれて行こう

やまがたすみこ 日本コロムビアサイトへのリンク

『風に吹かれて行こう』を収録したやまがたすみこのアルバム『風・空・そして愛 やまがたすみこフォーク・アルバム第1集』(1973)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『風に吹かれて行こう(やまがたすみこの曲)フォークルみたいな沁みる唄【ギター弾き語りとハーモニカ・寸評つき】』)