超規格を収める5・7・5
ソウル、ブラック・ミュージックっぽい鬼気迫るボーカルのシャウトとおちついた “Just rising sun”のコーラスやヴァースのボーカルトーンに対比があり、振れ幅、人格の2面性を思わせ危険人物の香り漂います。左に定位したリードギターがイントロや間奏、Aセクションでずっとアーミングでちりちりと音色を痙攣しているみたく揺らしまくります。ボーカルの2面性と合わせて中毒性をかもす要因でしょう。ギターがファズ?で深く歪んでいますがベースもやはり深く歪んでよく動きメロディアスに歌います。ドラムはジャズ畑の人のようで描き込みが細かいです。装飾、ロールの付け方……いかにもレギュラー・グリップでプレイしていそうなフィーリングです。型からはみ出した危険人物の集まりのようなバンド。寺内タケシ&ブルージーンズのいわゆる「2期」の始まりらへんのキャリアにあたる時期の作品とのこと。
ABA +A(歌なしのギターソロ)+BA(歌詞は既出部の再提示)の楽曲構成で、まるで川柳のような簡潔にして完成された楽曲構成が危険なアウトロー(型からはみ出す才能)どもをフレーミングします。
太陽に叫ぼう 寺内タケシとブルージーンズ 曲の名義、発表の概要
作詞:ささきひろと、作曲:寺内タケシ。寺内タケシとブルージーンズのシングル、アルバム『レッツ・ゴー・ブルージーンズ』(1969)に収録。
寺内タケシとブルージーンズ 太陽に叫ぼう(アルバム『レッツ・ゴー・ブルージーンズ』収録)を聴く
これ、ボーカルも含めて一発録音でしょうか。ドラムのヒリヒリするくらいの走りっぷり。ベースのリフレインの上に左定位のリードギターが危ないヤクをキメた人のうわごとみたいにわさわさと木立を揺さぶり続けます。右定位のギターは明日にでも辞表を突きつけようとでもいうのか、というくらいに言葉すくなに粛々と頭拍にコードとリズムをポトリポトリと置いていく、心を殺した、あるいは凪がせたみたいに。
バスドラムのトーンがトントンと軽いところからも軽いジャズ編成向けのキットを愛用する態度がにじんでいる気がします。そのおかげもあってベースと帯域で喧嘩することなくお互いのシマをわがものにいいようにし棲み分けます。ベースの歪みの凶悪なこと、何度聴いても。
ボーカルのハスキーさが中性的にも思えますが態度はあくまででかいベテランみたいな図太い声色です。コーラスのときにジャスト・ライジング・サンと歌ったあとすかさずオブリのフェイクをいれるボーカルパートは同一人物によるオーバーダブなのでしょうか、声色が似ている気がします。
ドラムがドカパカタム回しであばれつづけながらフェイド・アウトがかかっていくエンディング。
現代の大衆商業音楽ではこういうヒリヒリしたバンドの緊張感だけが時空を捻転させているみたいな「時間の記録物」が本当に少なくなったなと思います。そんな時世だからこそ聴く寺内タケシとブルージーンズの軌跡に稀な価値を私は見ています。なんだろうこのごみごみした濁った感動は。
青沼詩郎
寺内タケシとブルージーンズ | TERRY & BLUE JEANSへのリンク
『太陽に叫ぼう』を収録したアルバム『レッツ・ゴー・ブルージーンズ』(1969)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『太陽に叫ぼう(寺内タケシとブルージーンズの曲)超規格を収める5・7・5【ピアノ弾き語り・寸評つき】』)