メリー・ジェーン つのだ☆ひろ 曲の名義、発表の概要

作詞:Christopher Lyn、作曲:つのだ☆ひろ。成毛しげるとつのだ・ひろStrawberry Path)のアルバム『大烏が地球にやってきた日』、シングル『Mary Jane On My Mind / My Gypsy Woman』(1971)に収録。

つのだ☆ひろ メリー・ジェーン(ユニバーサルのコンピ『Disco -ベスト100-』収録)を聴く

外タレ(海外の才能)かよとツッコませる、スケール感のバグった才能です。肉厚で太い歌声。ねちっこく、水にも油にも溶けなさそう。

こんこんと雨のように降り注ぐライドシンバルの生きたニュアンスの連続性に感動します。はずむグルーヴを執り、自らのグルーヴに乗ってさらに新しくグルーヴの循環をまわします。演奏とはこれだよ。

はずむグルーヴにタムタムのフィルインのツッコミ具合がカチっとはまっています。カチっとハマっているのに前のめりのアティテュードを感じるのです。的確に定規にはまる、つまり正しいタイム感であることと、前のめりにつっこむ威勢の良さは一見相反する個性に思えるのに同居しているから神秘です。ライドシンバルをトリプレットの分割で恒常的に鳴らすだけでなく、1拍を弾ませて6分割する体感がつねにあるのです。時折ライドのストロークの分割を実際に細かくしています。「チー・チー・チー」を「チー・チーチ・チー」と変化させるような感じですね。微細なニュアンスの連続性に肉体の記録が視えるのです。ドラムはメトロノームの代替なんかじゃ決してないんだぜ。当たり前(すぎるくらい)の事実ですが、どうしてか忘れがちじゃないかい?(私は誰に言っているのやら)。

ベースがボンボンと、サスティンが自然に消えていくサウンドでドラムが弾ませる分割をやさしく抱きます。落ち着きがあり、懐の深い質量感があります。あまり分割をコッテリ出しすぎないようにしていますが、佳境に入る後半あたりですこし分割の熱量が増す感じもします。

コアーっと虹を引っ張るようなオルガンが終始、和声を担います。ロータリースピーカーがカラカラ喉を鳴らしているような物体の質感があります。

女声が時空の彼方から漂います。クワイア的な大勢のサウンドも壮麗ですし、ストリングスも漂います。竿物とキーボードとドラムによる数人編成のオリジナルメンバーだけで鳴らすプログレッシヴロックのような精神を感じる一方で、全部入りの大衆歌謡っぽいスタジオ感をフィーチャーしてもいます。

Cm調を主調に、平行調の長和音とのあいだをふらふらと移ろい、響きの変化や揺らぎが恋愛に振り回される人間の心を映します。

もっぱらオルガンが厚い線を長く引き(弾き)続けますし、リズムはドラムとベースが豊かな情報量で担い、オブリガード的な彩もクワイヤや孤独な女声やストリングスがいてその印象が強いです。バッキングとしてのエレキギターの印象は薄いですが、間奏でギラつき油を飛び散らかすようなコッテリしたギターソロが入り、起伏のテッペンに来光を注ぎます。このために静かにしてたんかい。ごちそうさま。これだけで満足感があります。

私を惑わせるメリー・ジェーン

オリジナル発表をたどると、ストロベリー・パス名義のようです。成毛しげるとつのだ・ひろともされています。『メリー・ジェーン』はつのだ☆ひろの代表作と認知しますが厳密には初めて発表した時はドソロ名義ではないのですね。ストロベリー・パスのオリジナルアルバム『大烏が地球にやってきた日』に『MARY JANE ON MY MIND』として収録されます。発表名義表記や曲名の表記にも揺らぎがあるので、惑いました。

実際、楽曲の主人公を“メリー・ジェーン”が惑わせ、魅了したのでしょう。奇しくも、楽曲自体が日の目を見る道筋と合致するみたいです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>つのだ☆ひろ

参考歌詞サイト 歌ネット>メリー・ジェーン

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つのだ☆ひろの『メリー・ジェーン』を収録したコンピ『ディスコ -ベスト 100-』(2020)。私の好みだとアバ/ダンシング・クイーンヴィレッジ・ピープル/Y.M.C.A.ほか数多収録。タイトルやアーティスト名の認識があいまいでも「これ聴いたことある」のオンパレードなコンピ。あるいは「こんなのもあるんだ」と出会ってください。

『メリー・ジェーン』を収録した『つのだひろ NEW BEST』(1993)

『メリー・ジェーン・オン・マイ・マインド(MARY JANE ON MY MIND)』を収録したストロベリー・パス(Strawberry Path:成毛しげるとつのだ・ひろ)のアルバム『大烏が地球にやってきた日』(1971)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『メリー・ジェーン(つのだ☆ひろの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)