アフリカは午後0時 TULIP 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:財津和夫、編曲:チューリップ。チューリップのシングル『虹とスニーカーの頃』(1979)に収録。

TULIP アフリカは午後0時を聴く

爽やかなビートと降り注ぐギターやシンセ、折り重なるハーモニー。

シンセサイザーの音がイントロを印象づけます。ドラムのビートはキック4つ打ち。ずっとどこまでへも行けそう。ベースはプレーンな音色のピックストロークでしょうか。同音連打が直線的な印象で、車を飛ばして開放的な広大な土地を行く気分にさせます。

きらびやかなサウンドのエレキギターが左右にいます。海や太陽の光があたり一面に乱れ、輝いているみたいです。ストラトキャスターを思わせる、チュリチュリとした質感(伝わります? ストラト特有の個性的な輝かしく歯ざわりの軽い快い音)のサウンドです(実際にレコーディングで使われたのがストラトかは未確認)。

キラキラしたギターのクリーン・クランチの音が降り注ぎますが、途中でズウンと深く歪んだギターの音も滑り込んできます。アフリカという主題が思わせる野性的でエキサイティングなパワーのある音です。さわやかなサウンドにアクセントを与えます。

複数のボーカリストが隙間を埋め合うチューリップサウンド。バックグラウンドボーカルの印象を占めるのは姫野さんのボーカルでしょうか。“Do yo Do yo Do you”……あたりのところで2拍分の半端な小節を挟み込みます。時間(小節、「間:ま」)の使い方が巧妙。アフリカの旅のタイトなスケジュールに連れ回される私。

アフリカが象徴するもの

アフリカは アフリカは

今午後0時

この太陽のように

君を愛したい

はだかのまま はだかのまま

今すぐおいでよ

野性の愛をあげよう

うそのない愛を

『アフリカは午後0時』より、作詞:財津和夫

なぜアフリカなのでしょう。開放的な曲のイメージから導いた固有の地名なのでしょうか。

数多、実在の国や土地、街の名前をタイトルや歌詞にとりいれた大衆歌があります。アフリカはTOTOの『Africa』という曲がありますが、日本のポップスや歌謡なんかにおいて、東京とか京都とか銀座とか六本木とかが登場する頻度に比べるとアフリカは初耳で私の興味をひきます。

人間関係のしがらみのない時空の象徴が、私が『アフリカは午後0時』に感じる主題:アフリカの扱いです。私がアフリカへ行ったことがないこと。私の居住地・生活圏から距離的に遠いこと。これらを理由に、私が勝手に「しがらみのない開放的な土地のシンボル」みたいな想像をしているのですが、アフリカにはアフリカの人や生活やすべてがあります。私が抱く印象はひどく勝手なものでもあるのです。

アフリカ 時差 などと適当な検索をすると、7時間とか8時間とか9時間とか出ます。日本は日が出るのが早い国なので、日本の時計のほうが早く進んでしまっているようです。

だから……アフリカが午後0時なら、日本はもう夜の19〜21時とかになるのですね。アフリカも広いから東岸諸国か西岸諸国かでもかなり日の傾き具合が異なるでしょう。

歌の世界の外側に興味を持たせてくれる爽やかなB面曲『アフリカは午後0時』、チューリップのシングル『虹とスニーカーの頃』に収録でオリジナルアルバムには収録されていません。

日本から遠く離れた地名や国や街の名前を積極的に用いたロックソングや大衆歌も数多存在します。検索すると色々出るでしょう。

書き手の方のプロフィールがほとんどわからないのですが“ON  MY  WAY”というタイトルのブログに行き当たりまして、歌で世界一周~昭和50年代の好きな歌を中心に~という記事で素敵な楽曲が数多紹介されています。

『アフリカは午後0時』は、人間関係の服を全部脱ぎ捨てて愛しあう理想を描いた爽やかなラブソングだと思います。

青沼詩郎

参考Wikipedia>虹とスニーカーの頃

チューリップ ビクターサイトへのリンク

財津和夫 公式サイトへのリンク

『アフリカは午後0時』を収録した『これこそが「TULIP ポップ」だ!The Complete Single Box』(2007)

『アフリカは午後0時』を収録したTULIPのシングル『虹とスニーカーの頃』(1979)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『アフリカは午後0時(TULIPの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)