映像

わらべ

ちゃんちゃんこというのか……部屋着? の3人。ダンスのゆるさ、歌のピッチが気になります。ヒラウタのダンスは各コーラスおおむねいっしょでしょうか。サビ? で歌詞に登場する動物のしぐさを表現しているようですが、メダカが平泳ぎなのが気になります。メインボーカルと後追いコーラスの音量や定位がだいたい同じに聴こえるのでオノマトペのサビでなかなかにカオス。ゆるいダンスと歌でフルコーラス演じ、「おやすみなさい」と発声。チャンチャンコのようなモノを脱ぎ……ここで寝るんですか。就寝前の3人という設定か。番組のエンディングだったのですね。破壊力あります。笑っていいのかどうか……。

アニメ

アニメになった3人。デフォルメされています。スズメに変わり……ペンギンに変わり、飛べないというオチ。見た目にも落下していきます。3人は夕焼け空に浮かんでいます。2番は縁側。猫のきょうだいです。トラがボディビルダー風ですがライオンの前では物おじするのでしょうか。夕焼けの太陽を背負う3人の腕組みのポーズ。やがて日も暮れて軒先にあかりがともります。3人のカットに戻り、最後はメダカ。川の中です。1匹だけ太いメダカがいますね。その個体がくじらになります。「スイスイ」のしぐさ、実写でもやっていましたね。さいごはお布団のカットです。アニメでも寝るのですね。月夜を背負って3人が空に浮かんでいるのが気になります。

曲について

わらべのシングル(1982)。作詞:荒木とよひさ、作曲:三木たかし、編曲:坂本龍一。『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日)のエンディングで歌われ、人気になったそう。

わらべ『めだかの兄妹』を聴く

シンセのサウンドがボディ。ストリングス、ピアノ、ドラムスのリムショット。ベースはアコースティック・ベース風のトーン。どこまで生演奏でどれがシンセトーンかなんともいえません。ピアノのトーンにストリングストーンが追随して聴こえるところがある気がします。イントロはフラッパーカスタネットの音が「カララン!」と乾いた音を添えます。各コーラスにメインボーカルがおり、ほかのメンバーがコーラスをするという構図でしょうか。「チュンチュン」「ニャンニャン」「スイスイ」とオノマトペを後追いするコーラス。その直後にあらわれる「Ah~」というコーラスが硬質。『日立の樹』(♪この〜きなんのき、きになるき〜)を思い出すコーラスの下行です。やや異質にきこえるこのコーラスもわらべメンバーによるものなのでしょうか。オトナびてきこえます。曲のエンディングに「ハッハッ」と添える発声もきこえます。

わらべメンバーは当初3人。1番が倉沢淳美、2番が高部知子、3番が高橋真美のメインボーカルだそうです。2番の歌声の甘々な破壊力が目立ちます。猫なで声といいますか……ラインによって声質も違って聞こえます。あえて悪くいえば不安定かもしれませんが、ニュアンスに富んだ幅のあるボーカルともいえます。この2番を歌ったメンバー・高部知子は事情により脱退してしまったんだそう。残念……というほどに身近な話にも思えず「そうだったのか」という感じ。

メロディについて

画像1

歌い出し。わらべはFメージャー調で演奏しています。第5音からスタートし4度跳躍し主音へ。有名な曲に多い進行です。リズム形は違えど、『赤とんぼ』(山田耕筰)の歌い出しも第5音ではじまり4度跳躍し主音へ進みます。Aメロは強起(キッカリ1拍目からはじまる)のフレーズです。

2小節目の3拍目から3小節目の順次進行が歌い出し2小節の跳躍に対するカウンター。

画像2

Bメロ。覚えやすく印象に残る部分です。Aメロに対して、こちらは3拍目の弱起。1拍目で第3音に着地します。「チュンチュン」の終わり付近(画像2・下段3小節目3拍目)のレは歌メロの最高音。曲中に何度か出てきます。

画像3

弱起のまま、“だけど 大きく”と歌うところ。3拍目で起こって次の小節の1・2拍目にかかる音形を繰り返します。1拍ぶん前のめりにズレたおかしみ。4分音符中心の単純なリズムに、巧みに変化を与えています。

“すずめはずずめ”と歌うところ(画像3・中段2〜3小節目)はオクターブ(8度)下行跳躍。上のⅴ(ド)から下のⅴ(ド)へポジションし直し、順次進行で主音にトドメ刺し。「チュンチュン」(ラ→ファ。ⅲ→ⅰ。)のオマケつきで偶数小節のまとまりを満たします。

1コーラス譜例

歌詞

〇〇のきょうだいが成長し、種を超えてスケールアップしていく想像を提示。ここがおもしろみであり、おいしいところ。だけど成長しても〇〇は〇〇のままである、とせっかくの想像を覆して現実へ引き戻し結ぶ歌詞。すずめが大きくなったら、ただの大きいすずめですよね……(夢がない?)。

雑感

「欽どこ」の放送当時を私は知りませんが、映像をみるに、この曲をパフォーマンスして3人(姉妹の設定。萩本家の3人の娘たち、だそう。)は寝てしまいます。「おかしなこと言ってないで、もう寝るよ〜」くらいのエンディングのミニコーナーに相当する歌といった感じか。それゆえの「かろみ」が魅力だと思います。荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲ですが、そのあたりの前提をふまえた発注だったのでしょうか。

Wikipediaを見るに「兄妹をテーマにしたほのぼのとした歌を」との萩本欽一から三木たかしへの請願だった……そんな趣旨が読み取れます。「兄妹=すがたかたち(容姿)が似ているけれど、大きさが違う」。ここに目をつけたなら、もう半分曲が出来たようなものかもしれません。作詞は荒木とよひさですが、作曲とはどのような連携だったのでしょう。詞先? 曲先? なんともいえません。

編曲者が坂本龍一というのが意外。私の好きな歌に『TAKESHIの、たかをくくろうか』(歌:ビートたけし、作詞:谷川俊太郎)というのがあるのですが、この作曲者が坂本龍一。曲の拍子も『めだかの兄妹』と同じ3拍子。音作りに通ずるものを感じます。『めだかの兄妹』の前奏や間奏のメロディの決まりの良さは緻密で、いかにもな職人技。かつ嫌味すぎない洗練がなおツボです。

歌詞はほかの動物をあてはめて遊びたくなります。実際、そうやって多くの子供や大人の冗談の種にされたのでは? そうしてヒットの規模をより広めたのではないでしょうか。また、毎週放送のテレビ番組だったのも強み。視聴者は繰り返し刷り込まれ、より親しみを強めたのではないでしょうか。

「成長しても〇〇は〇〇だよ」とセルフボケ&ツッコミの曲。パフォーマンスしたのがあどけない10代の女子3人。他愛ない子供の想像にも思える一方、何かの辛辣な風刺にも思えます。眠る前の寝言みたいですが、「お遊戯」で片付けられない魔力あり。とらえようによっては箴言では?

青沼詩郎

『めだかの兄妹』を収録した『イモ欽トリオ&わらべ ゴールデン☆ベスト ~欽ドン!欽どこ!?秘蔵っ子!!~』

『めだかの兄妹』を収録した『めだかの兄妹~わらべ全曲集~』

ご笑覧ください 拙演