暗闇は夢の母
「朝」と「お早う(おはよう)」。親しい印象をあたえる単語・語句二つをつなげたひと続きが情景の自由、器の広さ深さを醸し出します。秀でたタイトルです。本曲が描く夢のなかでいろんな「もしも」のシーンをみます。夢は現実で得た知見(含むフィクション)がもとになっていますが現実とはまるで異なる飛躍を持ちます。
夜、暗闇は夢の母。意志からくるものとも限りません。意志を凌駕・超越しています。石になって見知らぬ町で人々に踏まれるシュール。その痛み、叫び。はだしの足の指の下で地球がまわるのは当然といえば当然ですが、そも足の指がにぎりしめる30センチ四方程度が占める範囲に地球の全部がおさまっているみたいに思うとイマジネーションのスケールが飛躍凝縮していて言葉のおもしろみがあります。
本曲を含んだアルバム『いま 生きているということ』のバッキングは鈴木慶一とムーンライダーズ、また矢野顕子さんなども参加されているとのこと。
お早うの朝 小室等 曲の名義、発表の概要
作詞:谷川俊太郎、作曲:小室等。小室等のシングル、アルバム『いま 生きているということ』(1976)に収録。TBSドラマ『高原へいらっしゃい』(1976)主題歌。
小室等 お早うの朝(アルバム『いま 生きているということ』収録)を聴く
息遣いがマイクにかかる近さ。低い響きから朗々とした響きまで小室さんの体が鳴る歌唱です。
左にピアノ。ゆっくりと深呼吸を置くような音の間隔。エンディングに向けてトントンとかるく弾む音色。アップライト(縦型)ピアノの音色でしょうか。
小室さんの低域の臨場感が大きく、ベースが控えめです。ゆったりと紡がれていく2コーラスに対して、3ヴァース目でスネアドラムが入ってきて勇気を得たかのよう。ドラムキット全体がなってくるとようやく曲の箱の大きさが見えてきます。立体感あるドラムのサウンドです。グルーヴ的にも肩幅が確立したように、小室さんの歌唱のタイム感もキリっとしてきます。ヴァイオリンの音色がアイルランド民謡のよう。土の上にも朝は来る。
青沼詩郎
いま 生きているということ フォーライフミュージックエンタテインメント アルバムページへのリンク
『お早うの朝』を収録した小室等のアルバム『いま 生きているということ』(1976)