お酒の歌 高石ともやとザ・ナターシャー・セブン 曲の名義、発表の概要

作詞:高石ともや、作曲:アメリカ民謡。高石ともやとザ・ナターシャー・セブンのアルバム『107 SONG BOOK VOL.4 きれいな娘さん。ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズ編』(1977)に収録。New Lost City Ramblersのアルバム『New Lost City Ramblers』(1958)収録『Likes Liquor Better Than Me』が原曲。

高石ともやとザ・ナターシャー・セブン お酒の歌を聴く

お酒の名前を列挙するコーラス。自分のことよりもお酒への好意に軍配が上がってしまうパートナーを嘆く構図です。せつない。

せつないのですが、そのパートナーを選んだのも主人公なわけです……などと、「自己責任」みたく簡単に言ってしまえる、一笑に付してよい問題でもないかもしれません。

列挙されるお酒の名前からしても、お酒は実に多種多様。

キリン 朝日 純生 サッポロジャイアント

『お酒の歌』より、作詞:高石ともや

このあたりはビールでしょうか。「サッポロジャイアント」は私としては初めて聞く名前ではありませんが、近所のスーパーや酒屋で見たことがありませんので現行品でもなさそうです。「純生」もそれに同じでしょうか。

オーシャン ニッカ サントリー

『お酒の歌』より、作詞:高石ともや

このあたりはウィスキーな気がします。「オーシャン」はあまり聴いたことがありませんでした。良いお値段のものでしょうか。

漢字の名前のものはみんな日本酒なのか、焼酎なんかも含まれているのか……お酒の銘柄に疎い自分を自覚します。私もまだまだよ。

音の景色はシンプルで、だいたい同じ楽器の構築を4コーラス連ねます。マンドリンのような音域でトレモロ奏法を含んでリードする楽器。複弦でなく、ナイロン弦のようなコロンとした愛嬌とわびさびのある音色ですがなんの楽器でしょう。

ボーカルのハーモニーが柔和で甘美。メインボーカルの上の音域にも下の音域にもいます。少なくとも4人くらいの声が入っているようです。各音域において発声が柔和で優しく耳心地よいです。

もうすぐあの人と結婚します 彼よりお酒に 泣かされるでしょう

『お酒の歌』より、作詞:高石ともや

「お酒に泣かされる」の表現にちょっと待ってくれとつっこみを入れたくなります。結局、親しい人を困らせたり泣かせたり迷惑をかけたりするのは、「お酒」ではなく「お酒を飲む人」のはずです。お酒が存在するからお酒を飲む人が生じて、お酒を飲む人の問題行動や言動や悪習慣によって困る・泣く人があらわれる。だからお酒自体が悪なのだ、という理屈では……ただちにどうというわけではありませんが、極論に発展すると世界の均衡が崩れてしまいます。車があるから交通事故で亡くなる人がいる、だから車が悪い? コーラがあるから糖分を摂りすぎる人があらわれる、だからコーラが悪い? マーガリンがあるから……たばこがあるから……ゲームやインターネットがあるから……悪者が無限に生じうる風向きを誰が望むでしょう。

お酒とも、お酒を好んで飲む人とも、うまく付き合って行く必要があるのです。

説教くさくなってしまいましたが、高石さんらナターシャー・セブンが「お酒の歌」で提示するのは、ごく軽いウィットです。普遍的なテーマをさらっと笑い、楽しいものとして扱っている。だからといって、「笑い種」と片付けられる主題というには深みがあります。

嗜好品のある豊かさの享受とそれに付随する教訓。学びを得るためにものごとを嗜むのです。

青沼詩郎

高石ともや 公式サイトへのリンク

『お酒の歌』を収録した高石ともやとザ・ナターシャー・セブンのアルバム『107 SONG BOOK VOL.4 きれいな娘さん。ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズ編』(1977)

『Likes Liquor Better Than Me』を収録した『NEW LOST CITY RAMBLERS』

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『お酒の歌(高石ともやとザ・ナターシャー・セブンの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)