島倉千代子『愛のさざなみ』のアゲのオチ 浜口庫之助のメロディ、なかにし礼の歌詞のロマン さざなみに似て上下する浜口庫之助メロディ、ささやかな食いのリズム・弱起モチーフ。なかにし礼の歌詞のロマン。島倉千代子の声の機微。演奏の妙はボビー・サマーズと彼のグループ。
フニクリ・フニクラ 冒険心あおるCMソングの元祖 呪文みたいで可愛い「フニクリフニクラ」は登山電車「フニコラーレ」の愛称。変拍子っぽく聴こえる、小節線を無視したようなトリッキーなモチーフの割り付け、奇数小節フレーズ。ⅢmやⅤへの部分的な転調。サビ後半の転々とした和音進行と怒涛の同音連打「フニクリフニクラ」。登山鉄道の広報・宣伝の機能を満たし、主人公に想定上の相手役を配したアツいラブソングにもなっています。和音や調の進行にも起伏があり、音形もゆたか。ケーブルカーに乗った火山観光の冒険心をあおる秀でたCMソングです。ノリが良く親しみやすいメロディやリズムを持ったフニクリ・フニクラは「おにのパンツ」ですら許す器の大きい曲。
旅する歌い人・森山良子の一筆箋『この広い野原いっぱい』 かろやかな曲想というのが第一印象でしたが、普遍の風光明媚とロマンが理想高くうたわれています。あなたと私の関係に現実のリスナーと森山良子をあてはめても読めることから、彼女のファーストシングルとしてとてもおあつらえ向きという点にも鑑賞を重ねてから気づきました。飽きの来ない垢抜け感。当時の森山良子のジャズ志向をあながち無視したものでもない秀作。
The Beatles『Eleanor Rigby』 不協和とシュールの寓意 シュールな歌詞の世界の手ざわりは硬質。哲学の問いのようでもあります。弦楽器のストロークやカウンターラインが奇麗。ボーカルと同時に横に流れ、ときに縦の線で不和を起こします。不協を背景に跳躍の歌唱は高度。空耳のおかしみは音楽の魅力に符合します。
坂本九『ともだち』 拡散のエナジー・バトン 印象深い低音下行はアコベに低域ブラスの合音。スウィンギーでエナジーがあり、ともだちに託した! のマイナーシックス・アドナイン。結ぶのでなく開くエンディングはむしろプロローグ。ともだちと前を向いて事を始めるための歌か。
Beautiful Dreamer まえに、うしろに、ここに夢。 眠りにともなって生理的にみる夢と、将来像の表現としての夢。水や空気のようにありふれているし、人の行動さらには命すらも左右する。これまでの記憶と、今後の希望が夢に映り込む。カバーすればあなた色になる現実の歌。
Scarborough Fair スカボロー・フェア 新陳代謝する時代超越ソング 曲の半生が果てしない。メロディの旋法も気になる。サイモン&ガーファンクルの美ハモ・アレンジの功。いったい何人の遺伝子の入った歌なのか。ロマンすげ。今も鮮やかに目の前で息をしているような歌。
San Francisco (Be Sure to Wear Flowers in Your Hair) 映像 beat club、それからSCOTT MCKENZIEの文字。ネオンサインなのか、ライブ会場...
若者たち ザ・ブロードサイド・フォー 青春の俯瞰者 恋したり青春したり涙したりヘトヘトになったりして感情をいっぱいに動かしている若者本人ではなく、客観する平静な歌唱です。彼らを見守り、そのありのままを紡ぐ永遠の吟遊詩人みたいでもあります。ああ素敵。
こげよマイケル(Michael Row The Boat Ashore) 心の声の発露、通底する祈り。 いろいろ聴き比べ ハイウェイメン『Michael』 のんびりした口笛。ゆったりしたテンポ。左に右にそ...