ジョン・レノンの命日とDouble Fantasy

SNSのタイムラインを見ていて気付く。12月8日はジョン・レノンの命日だった。過ぎてしまったな。

1980年12月8日、22時50分頃にダコタ・ハウス前で待っていた犯人マーク・チャップマンに銃撃されて、23時過ぎに亡くなった。

亡くなる直前の1980年11月17日にJohn Lennon & Yoko Ono名義でアルバム『Double Fantasy』を出している。5年程のミュージシャン休止期間に終わりを告げる作品だった。復帰後の活動を世界中が楽しみにしたところだったのではないか。銃撃され亡くなった当日にも、事件前にミキシングのためにスタジオを訪れたり、インタビューを受けたりしたという。復帰も束の間、また長い休止期間が訪れてしまった。

この『Double Fantasy』のCDを私は持っている。2000年に出た、デジタル・リマスタリング版。小遣いでそう多くのCDが買えるわけでもない未成年だった私。購入したときの穏やかな嬉しい気持ちは、今でも妙に残っている。

Woman

Woman』がテレビCMで流れるのを耳にしていた私。なんのCMだったか(検索してみたところ、三菱の車・eKワゴンのCMか)。とてもいい曲だ。素直に受け入れた。曲が、音楽がそうさせた。

サスペンデッド・フォースの響きのオープニング。強拍で“Woman”と歌う。1拍に2音節を詰め込んだ標題の歌詞が印象的。優しく、暖かい歌の響きだ。女性への感謝や畏れ、懇意、敬意、親愛の念が等身で伝わってくる。そんな曲。背伸びも萎縮もしない、生活の息吹に即したテンポと音。

ベース(コード)の動きに注目する。順次進行でゆるやかなカーブを描くように、上ったり下りたり。跳躍も交える。かと思えばまた順次。コーラス部のコードは同パターンのリフレイン。「ウー」「Well,Well」「ドゥドゥ…」と、現実の感慨がそのまま乗るかのような発声。ここは最後のコーラスで“I Love You”に変わる。ささやかで、これ以上ないコーラス。

後半部には転調がある。半音上がるのだ。気分を一新する。気持ちを置き直す。ぼくやあなたの関係に点を置き、それはそれとして、さぁ、いま目の前にある者に聴いてほしいと歌うかのよう。本当に大好きな歌だ。

青沼詩郎

『Woman』を収録したJohn Lennon & Yoko Ono『Double Fantasy』(1980)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Woman(John Lennonの曲)ギター弾き語り』)

青沼詩郎Facebookより
“1980年12月8日がジョン・レノンの命日だった。
『Woman』は何かのテレビCMに使われていてとても好きになった(Wikipediaを見るに、三菱の車・eKのCMか)。
『Woman』が収録されたアルバム『Double Fantasy』を買って、持っている。2000年のデジタル・リマスタリング。レコードの復刻を思わせる紙ジャケがいちばん流行っていたのもこの頃じゃなかったか。
CD買うくらい好きな洋楽アーティストは当時の私としては主にRadioheadだったので、『Double Fantasy』を買った体験はなんだか妙に印象に残っている。
The Beatlesを今の私よりもっと浅くしか知らなかった頃、ポールかジョンでいえばジョンの方が好きと答えていた(今は両方好き)。それだけ、ジョンはファーストインプレッションで私の関心を持っていく。何がその理由なのか。
あえて心をさておき、アタマでとらえてみる。歌詞のテーマのピントなのかな。音楽性もシンプルでそれを邪魔しない。邪魔しないというとオマケみたいな陳腐なものと言っているような誤解を招きそうだけども違う。透明で、核心へのアクセスせを良くする表現。風通しの良い音楽なのだ。だから、すっとファースト・インプレッションで心に入ってくる。耳を通って。
今もずっと、ジョン・レノンの風は私の中に吹いている。”

https://www.facebook.com/shiro.aonuma/posts/3464832613610388