明ける空に未来を映す

流れるようなメロディ。常に動き、浮き沈みします。弱起のAセクション、強起のBメロ&サビ。8分音符一つひとつに粘り・グルーヴがあります。流麗でバンドとのなじみの卓越した歌声とサウンドの熱量はがむしゃらでなくあくまで精密なのでBGMとしても聞き流せてしまう耳福な調和感。サビのメロディの臨時記号(調性外の音程)の大胆な使い方に洗練とメロディメーカーとしての革新を感じます。ホーンが絡み、支え、哀愁があるのに幸福・希望のある結末を想起させる上向きなサウンド。

朝日のあたる道 Original Love 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:田島貴男。Original Loveのシングル、アルバム『風の歌を聴け』(1994)に収録。

Original Love 朝日のあたる道(『SINGLES BACK TO 1991-1995』収録)を聴く

左にコンガ。情熱的です。右にエレキギター。かろやかに16分割のグルーヴをコンガと対をなしてテクスチャーを決めていきます。

ベースがウッキウキにはずんでいるんです。音の切り方がすばらしい。このベースプレイが、本楽曲の、哀愁に満ちているにもかかわらず希望に胸をときめかせているような印象をリードしています。これにスパコンとさばけた、からっとしたドラムの音色がコンビネーションします。

ドラムのキックのパターンに注目してください。ドン・ドン・ド・ド・ドン。これ、「ニッポン・チャ・チャ・チャ」(バレーボール日本代表を応援するときの歓声)のリズムじゃないですか。なぜだか知らないが私は最近このキックのパターンがとても気になっていたのです。ドラムのキックのパターンって、だいたいスネアのいるところは抜くんです。例外は4つうちビートで、1・2・3・4拍目のキックに、2・4拍目にはスネアが重なります。つまりシンプルな4つ打ちビートに、3拍目ウラのキックが追加された、4つうちパターンの派生形(アレンジ、バリエーション)とも解釈できます。このアレンジパターンを採用する楽曲は非常に稀ですが、このアレンジパターンこそが、ただの4つうちビート基本形にはない独特の押し出し感を演出するのだと思います。

ピアノがおおらかに間隔を演出します。キンコンカンコン、のど自慢大会で評価を鳴らすあのベル・チャイムが教会にいるような敬虔な気持ちにさせてくれると同時に、私が本曲に感じる幸福感を演出する主たる要素はこのチャイムの音だったと気づきなおさら新鮮な気持ちです。

リードボーカルの歌唱が精密で、ブルーノートの四分の1くらいフラットさせるみたいなエンディングのリフレイン「as time goes by」のところなどいぶし銀。サビでバックグラウンドボーカルがリードを包み込むようにサイドにやわらかな音色で咲きます。

間奏のトランペットソロがまたジェントルで絹のようになめらか。ソロ終わりにポンと、きのうから今日に日付が変わるみたいに何の気もなしにさりげなく半音上の調にあがります。転調して2コーラス目のAメロに入るときの歌詞が「明ける空」。言葉の意味と協調して、オケの秩序(調)も昨日から今日にわずかに進歩するみたく地平が躍進するのです。2コーラス目に登場する「ハイウェイ」なんて情景描写も、とめどなく流れ続けながらどこかへ向かって進んでいく人生の軌道を思わせるモチーフで爽やかで洗練された印象を助長します

AメロBメロあり、サビは8小節プラス8小節で折り返しがある単位が基本になっており間奏・オープニング・エンディングリフレインありの2コーラス半、曲の構造自体はシンプルといいますか定型に忠実でも曲のサイズは5分に届き堂々とした質量を持ちます。

もう演奏、構造、アレンジ、あらゆる面で楽曲として録音作品として非の打ちどころがありません。希望が胸に枠く音楽です。主題通り、「朝日」が祝福をくれます。「明ける空」、これです。

青沼詩郎

参考Wikipedia>朝日のあたる道風の歌を聴け (ORIGINAL LOVEのアルバム)

参考歌詞サイト 歌ネット>朝日のあたる道 AS TIME GOES BY

Original Love Official Web Siteへのリンク

『朝日のあたる道』を収録したOriginal Loveのアルバム『風の歌を聴け』(1994)

『朝日のあたる道』を収録したOriginal Loveの『SINGLES BACK TO 1991-1995』(1996)