ああ人生に涙あり 『水戸黄門』主題歌 御老公の諸国漫遊

テレビ時代劇『水戸黄門』(1969〜2025)の主題歌。初代は東野英治郎が黄門さま。杉良太郎さんが佐々木助三郎、横内正さんが渥美格之進を演じたとのこと。

テレビで流れてくるためか曲自体は認知していますが全部歌えるほどに認知していたかといえばあいまい、というのが有名なテレビ主題歌のあるあるではないでしょうか(『水戸黄門』をちゃんと鑑賞したことがいまだにありません)。作詞者が『翼をください』が作歴として思い浮かぶ山上路夫さんでした。

”この印籠が目に入らぬか”が決め台詞のイメージでしたが、“この紋所が目に入らぬか”が正しいせりふのようでした。あいまいな勘違いを重ねている私の自覚が判明。

最初に楽曲を歌唱したのは杉良太郎さん、横内正さん。「すけさん・かくさん」という列挙に聞き覚えがあります。諸国漫遊感ある、古今東西多様な楽器・音色を取り入れた感じのサウンドアプローチが、サブスクで聴ける杉良太郎さんの実演から聴き取れます。ベーシックリズムパターンはボレロですね。クラシック作曲家のラヴェル作品で広い認知を得ているリズムだと思いますね。

メロディの設計に目を見張ります。歌い出し8小節を経て、9小節目から、黄門さまの器の大きさを表現するかのように音価が顕著に拡大します。

2コーラス目の歌詞が印象的で、「人生勇気が必要だ くじけりゃ誰かが先に行く あとから来たのに 追い越され 泣くのがいやなら さあ歩け」。きみがくじけたり壁にぶちあたったりしたら、ぼくが手をさしのべてあげるよ……などという優しい人格、寄り添う人格、ソフトな味方でいる態度を描くポップソングはどこかに例がありそうな感じがしますが、本曲の2コーラス目は熱血スパルタっぽい昭和っぽい青春感がありおかしみ深いです。夕日に向かって走れ感があるといいますか……。

歌詞が7・5調あるいは8・5調の様式をとっており、ほかの楽曲の歌詞を本曲のメロディの字脚(発声・発音、子音と母音の組み合わせあるいは母音の数)にあてはめることができます。たとえばギザギザハートの子守唄などもフィットするようです。入れ替え歌を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ああ人生に涙あり 『水戸黄門』主題歌 曲の名義、発表の概要

作詞:山上路夫、作曲:木下忠司。テレビ時代劇『水戸黄門』(1969〜2025)の主題歌。最も最初期の実演(1969〜1972)は杉良太郎・横内正。

杉良太郎の実演で『ああ人生に涙あり』を聴く

ソフトで紳士、平(たいら)で穏やかな歌唱です。オケのサウンドが大団円。スネアドラムがボレロのリズムを恒常的につらねます。タンバリンが強拍を抽出して協調したり、ぴたりと同じリズム形に合わせてスネアとユニゾンしたりします。パッパパパパパ……とトランペットが華をちらし、ホルンが間欠泉のように熱く吹き上がります。ミャァ〜ンとエレキギターのクリーンクランチサウンドやピョロロ……とフルートが行き交う。ポイ〜ンとシタールのような音色がはずみます。リードを受け取ってストリングスが雄大に歌う。スライドホイッスルが偉人に頭をさげる平民の頭みたいにポルタメントで下行する音程を描き込みます。

まさに諸国漫遊の音景色。ベースの音の止め方がきびきびとしていて、悠然とした恒久なビートに緩急を与えます。

青沼詩郎

参考Wikipedia>水戸黄門 (パナソニック ドラマシアター)ああ人生に涙あり

参考歌詞サイト 歌ネット>ああ人生に涙あり

杉良太郎オフィシャルサイトへのリンク

『ああ人生に涙あり』を収録した『GOLDEN☆BEST 杉良太郎 1975-1989 ヒット&カバーコレクション』(2011)