続きを読む 稲垣潤一『クリスマスキャロルの頃には』 「離れる」をやって、見る。 主人公と相手の関係は、少なくともクリスマス当日前後の1日〜2日間、その「点」を境にどうこうなるものではない……そんなうっすらとした冷ややかさを、主人公は深まる冬を前にして、肌で感じているのかもしれません。“離れてみればわかるらしい” はいろんな意味で真理に思えます。「見る・試みる」二重の意味に聞こえるのです。
続きを読む UNICORN『すばらしい日々』散開のモノクローム 共感と独創を両立しつつ、色も姿も鑑賞者が投影できます。モチーフの音程を変えながらリズム形を反復していく手法は西洋音楽っぽいですが、コードの決まり手やメロディの態度はブルージー。これで散開なんて、ちょっと待って…
続きを読む かまやつひろし『どうにかなるさ』 愛の自覚者 100通り1000通り10000通りの人生があったなら、二人で至る幸せもあったのか。主人公は変化をのぞむ性格のよう。希求者であり、成長をのぞむ人。変わり続ける中に変わらないものを見出す…特定の人と歩み続ける幸せには遠い人か。
続きを読む ハンバート ハンバート『どこにいてもおなじさ』歌詞のグッとくるところ 〜君と生きる意思〜 確かに、そういう、タフな人もいくらか世の中には存在しているかもしれません。でも、多くの人は、タフのほうにも、誰かに強く依存しなければ生きていくことさえままならないほどに弱々のほうにも振り切らない程度の、中くらいのところをふよふよしているのではないでしょうか。私自身がきっとそうであるように。その中で、最も弱々寄りに位置している自分が、この歌にすごく反応して、私は共感するのです。
続きを読む ZARD『負けないで』通じ合った二人の文脈 応援歌、といった表面の印象。精神を鼓舞し合う純(す)んだ愛情が表で、裏面はおどけたジョークの通じる二人のラブソングかもしれません。そんな二面を感じました。
続きを読む THE BLUE HEARTS『ラブレター』はなぜ美しいか 要所の3度のハーモニー コードの平易さ、言語の平易さを守った上で独創性を発揮するのは至難の技であり、それを実現しているのがTHE BLUE HARTSの尊敬すべきところのひとつだと思っています。
続きを読む YMO『君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-』 精通者の純愛 柄にもなく純情な気持ちで胸をときめかせている主人公とは裏腹に、お相手のほうは肉汁したたるモーションだったとしたら……この絵図にはおかしみがあります。音楽精通者グループの最後期にまさかの胸キュン。
続きを読む 岩崎宏美『すみれ色の涙』 現実の無情の滴り ブルー(青)に、現実の無情が滴り落ちると「すみれ色」に。一般と固有、淋しさの本質、平行調へつながるⅢ7、編曲:萩田光雄の妙技……知る・思うこと満載でした。原曲はジャッキー吉川とブルー・コメッツ。
続きを読む ジッタリン・ジン『プレゼント』 贈り物に映る人柄 ちょっとクセのある具体物を歌詞に込めつつも、聴き手それぞれに固有の体験を想起させるのがジッタリン・ジン『プレゼント』の秀逸なところです。メロのほとんどを同じモチーフの反復のみで聴かせてしまえるすぐれたアイディア。