公園遊具の記憶

小さい頃住んでいたマンションのとなりに小さな公園がありました。そこに、ブランコがありました。かご状といいますか、ゴンドラ状といえば伝わるでしょうか? 子供が4人くらい乗れるものです。2人ずつ向い合って座れるようなものですね。観覧車の一個一個の「カゴ」、そのうちのひとつを取り出して、鉄の柱に吊るしてブランコにしたような感じです。観覧車とちがって窓などがある、外気を遮断するように覆われているわけではなく、鉄パイプと木の座面だけでできたものです。

一般的な、座面だけのひとり乗りのブランコとは違って、チェーンがありません。捻れたりすることなく、一方向のみに前後するつくりです。かなり大袈裟な角度まで揺り上げることが可能な点はひとり乗りのブランコと共通です。そして、限界まで揺り上げると、外枠が鉄の柱に衝突して「ガタン!」と激しい音を立てます。子供時代の私たちはこの状態を「ガッタン90度」と呼んで親しんでいました。90度くらい揺り上げると起こる現象だからでしょう。厳密に90度かは謎です。だいたいで良いでしょう。

図:地元にあったゴンドラ状(?)のブランコを真横から見た図。柱と人が乗る部分の接合部の機構とか、どことどこがぶつかって「ガッタン90度」の音が鳴っていたのか不明。

ビリー・バンバンに『白いブランコ』という美しい歌があります。私の子供時代のアグレッシブなブランコ遊びとは似つかない……ヒトの感情の揺らぎや、記憶の中にしまってある思い出をやさしく揺り動かして回顧するのを表現したようなスウィートな歌を聴きましょう。

白いブランコ ビリー・バンバン 曲の名義、発表の概要

作詞:小平なほみ、作曲:菅原進。ビリー・バンバンのシングル、アルバム『ビリー・バンバンのえるぴい ミドリーヌ』(1969)に収録。

ビリー・バンバン 白いブランコ(『ビリー・バンバンのえるぴい ミドリーヌ』収録)を聴く

スウィートですね。歌声が快さきわまります。

メインボーカルが少し右に寄っているかなと思うと、左からオブリガードとハーモニーのボーカルが出てきます。はっきり二人のパートを聴き分けられるようにつくったミックスですね。

ハーモニーが心地良すぎて甘いものをくちいっぱいに頬張った幻想がするくらいです。ふたりのボーカルの定位が完全に重なっていたら、甘すぎて卒倒していたかもしれません。これくらいでよかったです。

ポロポロとナイロン弦ギターがやさしい。奥ゆかしいミックスです。右のほうからはつまはじく感じの古風な鍵盤楽器……チェンバロでしょうか。エンディングでAメロのボーカルメロディを再現するところが好きです。

左のほうからはチラリチラリとグロッケン。思い出の埋没しない輝きを嘆くようできれいです。

6/8拍子と解釈してよいでしょうか。1拍を3分割する、この割り切れない秩序がブランコの揺らぎを表現します。この曲は絶対偶数分割では成立しないのです。なんて甘美なのやら。なんだかあごやほおのおくがうずいて涎がでてくる気がするほどに甘いです。ビリー・バンバン中毒者になりそう。このハーモニーをレコードで当時聴いていたとかそういう思い出があったら宝物のように大切にしてほしいですね。親の恋の昔話を察するような気持ちを想像して浸っています。

青沼詩郎

参考Wikipedia>白いブランコ

参考歌詞サイト 歌ネット>白いブランコ

Xアカウント BillybanbanI – ビリーバンバン official

『白いブランコ』を収録したビリー・バンバンのアルバム『ビリー・バンバンのえるぴい ミドリーヌ』(オリジナル発売年:1969)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『白いブランコ(ビリー・バンバンの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)