『ジョゼと虎と魚たち』のアニメ映画バージョンが12月に公開される。そのことを知って、犬童一心監督の同名の実写映画を観たことを思い出した。その主題歌はくるり『ハイウェイ』。私の敬愛するバンドの名曲のひとつ。

実写映画に出演した主役のひとりが妻夫木聡だったので、同じく彼が出演した矢口史靖監督の映画『ウォーターボーイズ』を思い出した。埼玉県に実在する川越高校水泳部のシンクロ公演から着想したという。

私はこの映画が大好き。ネット検索して久しぶりに思いを巡らせた。劇中でのシンクロ公演のシーンで印象的に音楽がつかわれており、その中の一曲がフィンガー5の『学園天国』(1974)だった。

学園天国

狂気じみた歓声の黄色さにいつぞやのビートルズを思い出す。

当時のフィンガー5は実際の兄妹5人組。当時、一番年下の玉元妙子が12歳だったはず。長男の玉元一夫が19歳。

ボーカルの中心は四男、玉元晃。当時13歳。よくコントロールされた歌が達者。人気の中心人物でもありそう。グループ名はジャクソン5を意識してつけたという。亡くなったマイケル・ジャクソンを含んだグループ。言わずもがな。

少年少女のあどけなさ(若さ)ある歌声やコーラスアレンジがサウンドの主役。そのことになんとなく気をとられてこの曲を認知していたけれど、曲の性格のひとつにロックンロールがある。自分でもコードやリズムを聴き取って歌ったりギターを弾いたりしてみると、ノリがあってテンションが加熱し、かなり楽しい曲だと実感した。だからこそ、逆に平静に理知的にパフォーマンスしても面白い曲かもしれないとも思った。カバーも多く存在する。

歌詞にあらためて注目すると、私はなんとなく、内気で、しゃしゃり出るのが苦手な人物を想像した。席替えに臨み、美人の隣になれ!とは口に出さずにドキドキしている主人公の姿である。その後の勉強へのモチベーションがこれの結果に左右されてしまうであろうことを告げる歌詞。たかが席替え、されど席替え。口に出さずとも、思慮深い人格なのではないか。

その割には、曲の出だしが“Hey Hey Hey Hey Hey”。人前に立って注目を集める気風の人格を思わせる、勝ち気な表現である。心象かもしれないと思うと、現実とのギャップが面白い。

青沼詩郎

フィンガー5のアルバム(12曲入)『学園天国/FINGER 5 SECOND』(1994)

ご笑覧ください 拙カバー

青沼詩郎Facebookより
“曲のリリース時(1974年)、フィンガー5は12〜19歳の5人組兄妹ユニット。変声前の少年(四男・玉元晃)を中心にした、にぎやかで楽しげなボーカルやコーラスアレンジが目立って気づきませんでしたが、曲の性格はロックンロール。勢いとノリがあります。
歌の内容はほとんど、クラスの美人を意識して席替えにドキドキしている心の内側。意外とミニマムで視野が鋭いと思いました。
たかが席替えだけれど、その結果次第で、今後の勉強のモチベーションが大きく左右されてしまう…そんな懸念をテーマに一曲を描ききっているかのようです。
主人公は小心者っぽくもあり、みみっちくシンプルな題材にも思えます。その割には出だしが”Hey Hey Hey Hey Hey”のコールアンドレスポンスと、大げさでやかましく自信家でオラっている雰囲気。この対立が面白いです。美人を意識して内心大騒ぎになっている、シャイで奥手だけれど思考と想像の豊かな少年を私はイメージします。
実際の当時のフィンガー5は黄色い大歓声を浴び、特に大部分のボーカルをこなす玉元晃の歌は揺るぎなく堂々としています。それでいてハイトーンというところが引っかかりになってウケたのかもしれません。
作詞は阿久悠、作曲は井上忠夫。”