グッドタイミング 斉藤和義 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:斉藤和義。斉藤和義のアルバム『35 STONES』(2002)に収録。

斉藤和義 グッドタイミングを聴く

『空に星が綺麗』など思い出します。短い! それが良い。ハイライトだけで曲ができているような感じです。CMソングとして発想したものを完成サイズにしたみたいな短さですね。アイデアをそのまま最たる直行便で仕上げたような感じです。別のアーティストの話になってしまいますが、くるり『THANK YOU MY GIRL』『虹色の天使』なども私の偏見で思い出します。短いことはいいことだ。なんて言ってみたくなりますが、長いことはいいことだ! という声も同時に聞こえてきそうです。後奏が長い曲とかも良いですよね。

エレキギターの強起のリフがアタマから印象づけます。ドラムスも強拍の四分打ちを強調したビートです。まっすぐに目的にむかって実直に歩いていくようなビートですね。

金管のセクションが華を散らします。テンションがかかったようなトップの和声の緊張感がいいですね。狂い咲くように、荒々しいサウンドで吹いていて斉藤和義バンドにコミットします。

楽曲の人格をシンプルに実直に演奏するこのバンドのアンサンブル、ギター・ベース・ドラムなどのベーシックは斉藤和義さんによるひとり多重録音か? 縦の点のツボを押さえた気持ちよさもありますがエンディングのシメ方とかはひとり多重録音なのかな?とも思います。ベースの確かで気の利いた動きかた、フレージングも豊かで良い感じです。

“この時をずっと待っていたんだ 屋根の上で”のワンフレーズがつっこませます。倒置によって、屋根の上で、と明かす。まじで?! 屋根の上だったの? ツッコませます。

屋根の上って猫やカラスや何かわかりませんが、人間の社会の営みといくらかの断絶のある特等席という感じがします。

あるいは世の中を俯瞰する平静なポジション。とにかく、自分の魂を奮い立たせて、他者を扇動(先導)している人のいる席ではない気がします。屋根の上は、自由で気ままでマイペースで、他者との一定の距離がある場所の印象です。

屋根の上にいたが、始めようぜと呼びかけています。ここからが新しいタームなのでしょう。“新しい太陽 次の百年”。はぁ〜、休んだ休んだ。そろそろ休み飽きた。さて、いっちょやったるか!

という感じもします。コロナ明けとか、長期休暇明けとか、そういうシチュエーションと重なる気もします。私個人的には、休み始めたらもう何もしたくない。ずっと何かしている方がいいという気もします。つまり、エブリタイム・グッドタイミングなのですね。この曲も、そんな曲かもしれません。自分に寄せ過ぎ?

Bメロに入る時のボーカルの和声的に駆け上がるようにする跳躍音程など、休みまくってサボっていた人に出せるような瞬発力では実現できなさそうで、意外にアクロバティック。機を待ち、そのために人目に触れない努力を続けた……いえ、楽しみを培い続けた人の唄であるようにも思います。

斉藤和義『グッドタイミング』Bメロボーカルモチーフのスケッチ。大胆かつ緻密な跳躍音程で、弱起で飛び込んでいきます。

哀しみを笑わせて 喜びに涙をしよう とどきそうでとどかない 一秒前ですらもうここにはない(『グッドタイミング』より、作詞:斉藤和義)

ボーカルの跳躍音程の一瞬のⅶの音階音(“哀しみ”の「し」のところ)がすごくいいですね。清涼とほろ苦さの双方を感じます。時間の無情さと感情の尊さを描きます。

青沼詩郎

参考Wikipedia>35 STONES

参考歌詞サイト 歌ネット>グッドタイミング

斉藤和義 公式サイトへのリンク

『グッドタイミング』を収録した斉藤和義のアルバム『35 STONES』(2002)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『グッドタイミング(斉藤和義の曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)