私がFishmansの音楽と出会ったのは高校生か浪人中…あるいは大学生の初期くらい。

レンタル屋で何枚かアルバムを借りた。iPodで聴いていた覚えがある。

とっても気に入って、ファンになった。けど、バンドのことはよく知らなかった。私が好きになったのは多分2004〜2005年くらいの頃。Fishmansボーカル作詞・作曲佐藤伸治1999年3月15日に亡くなってしまっている。ライブも私は見たことがない。

2005年ベストアルバムを出したり、ゲストボーカルを迎えてRISING SUN ROCK FESTIVALに出演したりしている。そのニュースや熱がどこからか波及して私も彼らを聴くようになったのかもしれないが、はじめて彼らの音楽を手に取ったときのことを私はよく覚えていない。音楽仲間との情報交換の中で、Fishmansの良さを知ったんだったかとも思う。

いかれたBaby いかれたアプローチ

いかれたBaby』はFishmansの曲のなかでも最も私が好きなもののひとつ。

真似して、弾いて歌いたいんだけど、真似しにくい。和声がすごくヘンだ。ちょっといかれている感じ。

このおかしさ、というか「いかれた」感じの原因を今の私は2つ考えている。

・ベースのポジショニングがヘンテコ

音階のシックスの音を多用している。原曲はレミファ♯ソラシド♯Dメージャースケールだとおもうのだけど、私が聴き取るにベースは|ⅱ−ⅵ|ⅲ−ⅵ|(ミ-シ-ファ♯-シ)という進行を繰り返しとっている。4小節に1度(レ)に落ち着くからまったく主体がないわけでもないのだけれど、はっきりとしたトニックやドミナントやサブドミナントを感じさせる動きがないのだ。

・裏打ちのバッキングリズムの和音

シンセの音が1小節に4回、裏拍に入るリズム。スカレゲエを感じさせるパターン。この和音とベース音との不協和感が、私の思う「いかれた」感じの原因の2つめ(ベースと関係があるから1つ目との線引きはないかもしれないが)。8小節パターンの3小節目と7小節目に入る、準固有音がポイント。シ♭が含まれている。これはⅣmⅥ♭コードを用いるときに含まれる音で、特に不安定・緊張感を高め解決に向けてきゅんとさせる強い効果がある。しかもこの時にベースはシ(音階の6番目)のポジションをとっているから、これと上声のシ♭がぶつかって「いかれた」印象の原因を作っていると思う。

シンセや鍵盤の音作りが豊富。裏打ちの基本のリズム、間奏のサスティンする音(ストリングス系の音?)、異国っぽさを感じさせる音階の対旋律(合いの手)など。エンディングには即興の趣あるピアノ。

アルバム『Neo Yankees’ Holiday』頃のFishmansの体制

いかれたBaby』を収録したアルバム『Neo Yankees’ Holiday』(1993)が制作・発売された時期のFishmansは佐藤伸治(ボーカル)、茂木欣一(ドラムス)、柏原譲(ベース)、ハカセ(キーボード)、小嶋謙介(ギター)と、一番多くのメンバーが在籍した体制。佐藤伸治以外のメンバーが作った『うまく歩けないよ』(作詞・作曲:小嶋謙介)、『1、2、3、4、』(作詞:小嶋謙介 作曲:HAKASE)も含んだセルフ・プロデュース作

公式サイトを見て

Fishmans 公式サイトへのリンク

>「PROFILE」でバンドのあゆみが詳しくわかる。1トラックで1アルバムという作品『LONG SEASON』( シングル『Season』のロングバージョンとも)など、初めて知るその活動歴の独自性、個性にあらためて目を見張る。

後記

Fishmansを聴いて気に入った私は、Polarisに関心を抱き、聴き、好きになる。PolarisはFishmansのベースを務めた柏原譲オオヤユウスケからなる。元メンバーの坂田学のドラムス・プレイに私は影響を受けた。旋律的で美しい歌と、残響豊かなサウンドが心地よく組み合わさったものも多く、Polarisの楽曲が私は大好きだ。そんな彼らへの導入をくれたのがFishmansでもある。知ったばかりの頃はむしろそっちに逸れちゃったから、今になってもう一度ちゃんと、もっとFishmansを聴こうと思っている。

青沼詩郎

『いかれたBaby』を収録したFishmansのアルバム『Neo Yankees’ Holiday』(1993)

ご笑覧ください 拙演