原曲リスニング・メモ

空高くから光がさすように熱い口笛が高鳴るイントロ。

ストリングスは中央、やや高域でⅴ→ⅵ→ⅶ→ⅵのカウンターラインを奏でます。固定音でいえばラ♭→シ♭→ド→シ♭。原曲のキーはD♭メージャーです。

エレキギターのリズムストロークが左に。アップピッキングで裏拍のノリを出したオルタネイトピッキング。アルペジオを交えた旋律的なメロディのエレキギターは右です。

ベースが真ん中でズンズンと響きます。ドラムスは右寄りに定位。

サクソフォンも左側でⅴ→ⅵ→ⅶ→ⅵのカウンターライン。

朗々と歌うボーカルです。録音時、何歳くらいなのでしょう、貫禄ある磨かれた印象の声。渋さ漂います。サスティン時にしっかりとビブラート。要所でハーモニーパートのボーカルも入ってメロディのコシを強めます。

間奏で右から聴こえるエレクトリックギターの和声的なプレイが巧みです。管楽器が照りのある音色でプァ〜ッとせり上がります。複数のコーラスパートも入って和声を補強します。

作曲について

カウンターラインのⅴ→ⅵ→ⅶ→ⅵ(ラ♭→シ♭→ド→シ♭)が肝要です。この動きがそのままコード進行。コードネームで表すと、D♭→D♭6→D♭M7→D♭6。このカウンターラインのふくらみが、なだらかな山形を成します。Aメロの最初の数小節間はそのままこのコード進行。

歌メロディもカウンターラインのように、2小節くらいの周期でなだらかに山を成し、それを連ねます。

歌い出しの跳躍も肝ですね。“そよかぜ”というフレーズは♪♭ラ♭レ♭ミファ〜。移動ドでいえば♪ソドレミ〜です。はじめにソからドへ跳躍して、続けてドレミ〜と順次でのぼります。最後のミが次の小節の強拍に位置しており、このミはコードの性格を決める重要な第3音。

ベースが主音をとっているので、ベースと歌だけを取り出しても主音+第3音になっていて、この瞬間はきれいな調和です。いちばん前に出ているメロディ、それも強拍に第3音がいると、そこからメロディが展開していく気配をまといます(第3音は帰結感が薄い)。どんな未来に音が転がっていくのか、期待感のある第3音です。

この曲では♪ソドレミ〜ソラ〜ソミ〜ドミ〜〜ドラ〜の移動ドの旋律になります。先ほどから強調しているように、山なりの音形です。安心する揺らぎを感じませんか。美しくなだらかで、信頼できる……身を任せたくなる寛容さです。トリプレットのリズムが醸すおおらかな地平を望み、未来へのロマンを語っている……そんな情景を想像します。メロディが安っぽかったら「この人を信じてついて行って大丈夫だろうか」となってしまいますが、これなら「共に参ります」となりませんか?

『いつまでもいつまでも』A部分、譜例(in C)。旋律の流れが美しい山形。寄せては返します。ここちよい揺らぎ感。

音楽は音の波。振動周期の集合です。ミクロに見ても波。記譜上の音符の示す旋律の流れを見ても波。ここちよい上下、高揚と沈静。メロディの美しさは、拡大しても縮小しても相似形を見出せる意匠に隠れているのかもしれません。

Bメロ

Bメロではコード進行にドラマがあります。Ⅲ7(Ⅵm調のドミナント)→Ⅵm、Ⅱ7(Ⅴ調のドミナント)→Ⅴと、借用の和音を頻出させてベースが4度循環する進行。旋律(歌メロディ)は相変わらずマイルド。次の展開に突入するときに半音進行を用いる、同音連打でリズムを決める。

「転」のBメロからAメロ相似形へ帰結する、腑に落ちる感覚。準固有和音(ベースに♭ⅵ)のスッとする響きなども、おおらかな性格のメロディに清涼感を与えます。

いつまでもいつまでも 譜例
『いつまでもいつまでも』B〜A’ 部分、譜例(in C)。経過の非和声音、 “花「の」”にあらわれる♯ⅱ。II7の和音に沿うようにあらわれる“ほほえ「ん」で”の♯ⅳ。おおらかな波のような曲想の中にも、細かく緊張漂う響きがメロディに見い出せます。

曲について

ザ・サベージのデビューシングル曲(1966)。作詞・作曲は佐々木勉。ホリ・プロダクションに所属したフォーク系のソングライターで、彼はザ・サベージのメンバーではないようです(B面の『恋の散歩道』を、当時のメンバーでベースを担当した寺尾聰が作詞・作曲しています)。

トリプレットの曲調のバラードというコード(つながり、関連)で、加山雄三の『君といつまでも』を思い出します。いずれも寛大で美しいメロディです。加山雄三の方がキャラクターにも曲にも、ときにヤンチャ心がある気もします。ザ・サベージのほうが育ちが良い感じの印象。いずれも私の心をひきます。たまに海が見たくなる感じに似ています。

青沼詩郎

『いつまでも いつまでも』を収録した『ザ・サベージ コンプリート・コレクション』

ご笑覧ください 拙演