GSの心臓の未来
ご自身が日本のグループ・サウンズ(GS)シーンを代表する顔、象徴だったセルフパロディのようなタイトルの沢田さんのアルバムに佐野元春さんから提供を受けている曲。
ピーピーとオルガンがあばれウェットでアナログなディレイだかエコーの効いたアナログな音像が恍惚感、陶酔感をともなってレスポンスのボーカルとぶつかりあって相撲をとっているかのよう。レスポンスのボーカルは佐野さんの声なのでしょうか(未確認)。
ガチャガチャしたやんちゃで暴れん坊で高度経済成長イケイケ⁈なサウンドのグルーヴは本アルバム収録作のキーワードかもしれません。
佐野元春さん(NIAGARA TRIANGLE Vol.2)のセルフカバーは私の思う80年代の記憶をざわつかせるいかにもな明瞭な音像。佐野さんらしいあのサウンドになっていてボーカルの輪郭、コントラストもより強く確かなものに(間奏にサックスソロあり)。歌詞に出てくる「サキソフォン」「ビブラフォン」が印象的に響きます。
沢田研二さんのボーカルの、提供元の作家を憑依・複写(コピー)する同調能力が卓越しています。沢田さんの実演を聴いても、まるで佐野さんの精神が歌っているように聴こえます。沢田研二さんが大瀧詠一さんから提供を受けた『あの娘に御用心』を以前聴いたときにも、沢田さんの歌声に大瀧さんが乗り移ったかのように感じたのがフラッシュバックしました。
彼女はデリケート 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:佐野元春。沢田研二のアルバム『G.S. I LOVE YOU』(1980)に収録。『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(1982)に佐野元春さんのセルフカバーバージョンあり。
沢田研二 彼女はデリケートを聴く
演奏の荒々しいのなんの……GS最盛期に数多うまれくる新人バンドがすべてを飲み込む都市の闇をぶちやぶるべく営業先に行って生演奏をおっぱじめるみたいな勢い。ガヤの中サウンドチェックするみたいなイントロ。崩壊寸前の狂気?いや、まだまだ正気のうちといった具合のギリギリの緊迫感のバンドの秩序。心臓が口から出そう。
沢田さんのボーカルにかかった強烈なエコー。タイムの遅れがすごい。自分がどこの時空にいるのかわからなくなります。右定位に向かってエコーがなびく印象。
左トラックに猛烈なドラム。オルガンも左でこまかくビート・リズムを刻む役割すら譲りません。
ギターとベースが右に定位しリフレインといえるのかベーシックリズムといえるのか、なんとなく示し合わせた短い下行音型を繰り返すパターンでぐいぐい走ります。4人のベーシックにボーカリスト、合計5人いればライブ演奏できそうな音像です。
コーラス(サビ)でdelicateをレスポンスするボーカルはやはり佐野元春さんの声なのでしょうか。明瞭で鋭い歌唱がトロトロにとろけそうな沢田研二さんのリードボーカルがカクテルするフロアに氷の入ったグラスをぶちまけるかのようにクールです。
エンディングのShe’ so delicateのツッコミ方が過去イチ。エコーが残って定位を右から左によぎっておわります。嵐さるかのよう。
青沼詩郎
佐野元春 : オフィシャル・ファンサイト – Moto’s Web Serverへのリンク
沢田研二のアルバム『G.S. I LOVE YOU』(1980)
『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(1982)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『彼女はデリケート(佐野元春から沢田研二への提供曲)GSの心臓の未来【ギター弾き語り・寸評つき】』)