そこに私はいません

きのう、このブログで打ち込みについて考えていたらなんの偶然か岡村靖幸『ビバナミダ』に行き着いたという話を書いた。

岡村靖幸『ビバナミダ』のメロのシンセベースを聴いていて猛烈に思い出したのが、レイ・パーカー・ジュニア『Ghostbusters』だ。映画『Ghostbusters』(1984)の主題歌。

私は高校生の頃、この曲『Ghostbusters』をバンドで演奏したことがある。演奏に合わせて、ダンス部員たちが創作ダンスした。文化祭だったか、それ以外の発表の機会だったか。イントロや間奏のシンセのメロディをエレクトリックギターで再現を試みた。ちょっと無謀にも、トリオ編成だったと思う。今思えば、メロディ担当とコードバッキングの2本は欲しい。当時も確かそう思いながら演った。

レイ・パーカー・ジュニアが歌う“I ain’t afraid of no ghost”という詞の柔和ではっきりした発音がきれい。繰り返す中でニュアンスが変わって、ちょっと強がっているみたいに聴こえるラインもある。ときにくすぐったいような声の出し方、発声をはじめる瞬間の、2枚の声帯がゆっくりはじけてこすれるみたいなニュアンス。笑い声。ボーカリスト、レイ・パーカー・ジュニアの表現力に唸る私。シンセのかっちりした明瞭なサウンドを基調に、少し奥の方に左右に定位を分けてリズムとリードの歪んだギターが数本ダブってある。いかにも80年代全開で最高だ。近年隆盛を極めた(?)EDMの多くよりも若干抑えめなテンポの4つ打ちビート。こちらの方がよっぽど踊れるような気もする。なんなら幽霊も一緒にどうか。

私が生まれたのは1986年だから、映画『Ghostbusters』以降だ。夜の9時くらいから始まる、テレビのロードショーで一度くらいこの作品を観たことがあったかどうか? 記憶が無いから、今度観てみたい。それなのに、映画の存在、楽曲の存在は高校生の時点で認知していた。やっぱり日本のテレビでも頻繁に扱われた有名な娯楽映画だったのではないか。

今回、この楽曲『Ghostbusters』を久しぶりに思い出して検索してみたときの話。曲はすぐに出てきた。「これこれ」感あるのに、どこかこの「ピンと来る感じ」が弱い。アーティスト名を見てみると、「ウォーク・ザ・ムーン」とある。うん。…? この曲のオリジナル・アーティスト、そんな名前だったっけ…? と、はっきりと名前を疑問に思ったわけではないのだけれど、猛烈にのどにつかえた感がある。

調べ続けると、映画に「リブート版」なるものがあることがわかった。タイトルは同じく『Ghostbusters』で、2016年公開。サウンド・トラックが発売されていて、ウォーク・ザ・ムーンによるカバーはそれに収録された中の1つだとわかった。

映画『Ghostbusters』には同『2』があり、さらに続編の『Ghostbusters: Afterlife』が2021年3月5日に公開予定(アメリカ)とのこと。これが実は2020年7月10日公開予定だったが、新型コロナウィルスの影響で延期されたという。つい先週だったじゃないか!

そう思うと、私が今の時期にどんな偶然からかゴースト・バスターズのことを思い出したのにも、そこそこ時事性があったように思えて勝手にひとり嬉しくなる。というか、安心する。私は、いつも孤独に浮世離れしてしまうことをおそれている。それでいて、何よりもそれを望んでもいる。自称、社会の幽霊部員だ。孤独大好きなかまってちゃんであり、めんどくさい困った人である。どうか退治しないでやってほしい。

青沼詩郎

『Ghostbusters: Afterlife』
https://www.ghostbusters.jp/