この曲、クルマのCM(※マツダの企業CM「Be a driver.」)で聴きましたね。サビを中心にCMでつかわれていたのを見ました。Gメージャーキーで大胆にⅶの「ファ♯」の音をボーカルメロディのサビのいちばんおいしい部分に使っていたのが強く印象に残っています。♪たましいーでーは「しーーーー」れーーの、「し」のところですね。(サビ折り返しなら♪たましいーーでーーゆ「こーーーー」ぜーーー、の「こ」のところ。)

こんなMVがあったとは知りませんでした。ロボット…というか、クルマの衝突安全性試験のための人形が動いている…! 動くと人形を「ロボ」と認識するみたいです、私。

無表情なのに場面ごとに豊かな表情を感じるのがすごい! 演じ手の身振り手振り、首や顔の角度、光の当たり方…いろんな要素がそれを感じさせるのでしょう。見事です。

逃げ出した人形さん、街のキオスク的店先の新聞を見てしまう。自分のことを「早く戻ってきてほしい」という「研究所の奥田さん」の記事…笑 めっちゃ一大事になってる? …の割にはどこか緊迫感のないゆるい空気が世界を満たしています。人形さん、外をうろついたりバーで飲んだり(飲めてない!)ステージに乱入したり…(ギターうまそう)。

ステージ乱入者は店からつまみ出されて、ゴミ袋の山にぶん投げられる。既視感があります。ドラマなど創作の「お約束」か。そこで先程のステージ乱入に視線を送っていたある女性との交流が生まれて…なんやかんや青春ロマンスっぽい交際のようすがあり。「表情は無」が基本ですが、女性と会った瞬間と、部屋で眠って起きるときだけ「目」に演出があります。前者はハート、後者は目を閉じていた横一文字の表現。

女性と過ごした部屋を出て、クルマに乗り込む人形さん。そこは冒頭の「研究所」の中でした。戻ってきたのです。

冒頭でクルマの衝突実験に乗る役みて「おれがコレをやるのか…?!」とおののき、平静をよそおってあいづちをうちつつもやはり現実を受け入れらず、あわあわして逃げ出す。それで紆余曲折が中盤のドラマです。

最後に心を決めて壁にむかってクルマで走り出す人形さん。…「奥田さん」に肩を叩かれ、送り出されて。親指を立てて応える人形さん。…なんなんだこの男前ふたりは。

ハーフブリッジミュートのエイトビートギターの押し出しが疾走感を出しています。クルマが似合う曲が多すぎる奥田民生。合いの手、リード・ソロギターも爽快でカッコイイ。ボーカルのダブりも。曲の最後のほう、歌詞「いつごなびおーーらーーーい」のところで出てくるマイナーセブンスコードとボーカルメロディのⅲ♭が最高にスパイス効いてます。ブルー・ノートですね。

青沼詩郎

奥田民生 公式サイトへ

『風は西から』ほかを収録したアルバム『O.T. Come Home』(2013)