出会いのコンピ『QUE!』

『QUE!』というコンピレーション盤があって、それを高校生くらいのときだったかな? 買った。17,8年くらい前かな?(→2002年、ソニー)

確か、テレビで見たThe Clash『I Fought the Low』が使われたCMが気になって、音楽かっこいいなと思って探したんだったか。そこでThe Clashのアルバムを買うんじゃなくコンピに流れたところがナントモ私の軟弱さを物語っている。

でも、おかげでいい音楽にたくさん出会えた。コンピはコンピのいいとこがある。

この『QUE!』にはOasis『Whatever』Bob Dylan『Like a Rolling Stone』ほかが入っている。豪華で、どれを挙げてどれを挙げないにヘンな意味が込められてしまいそうなので特定のトラックを挙げるのに躊躇したがやっぱり特別好きだし訴求力に欠けるダルい文章に拍車をかけるのも不本意なので挙げた。

そんなふうに、いろんな気になるアノ曲コノ曲が入っているから、このコンピをわざわざ選んだったんだと思う。テレビCMは当時の私の、音楽を仕入れる有望な畑のひとつだったのに違いない。

それで、Ben Folds『Zak and Sara』もこのコンピに入っている。この曲もやっぱりテレビCMで見て(聴いて)カッコいいと思ったのだった。コンピの企画に完全にやられている。

ひとりでなんでもやってしまう鬼才ベン・フォールズ

チキチチキチチキチチキチ…

怒濤の間断なきハイハットのトリプレット。(3連符)

このドラムはダブっている。ハットがずっと鳴っているほかで、タムのトリプレットが鳴る。ひとりの人間で同時にプレイすることはできないフレーズだ。

そう、このベン・フォールズはすごい人で、ひとりでなんでもやってしまう。

この『Zak and Sara』が入っているアルバム『Rockin’ the Suburbs』なんて、ほとんどのパートをひとりで演奏したらしい。(Wikiひとり多重録音の頂点じゃないか。私もそういうスタイルでバンドの音をつくったりするが、私の嫉妬なんか屁でもない。格がちげぇ…はうぁ。

透明のコーラス。低音もいい。

ヴァースで左からエレピが左もきこえる。生ピアノ。シンセ。白と黒の全部乗せか。サウンドのセンスも頭抜けてる。

歌詞は私の英語力ではわかりきらんけれど、なんとなくベン・フォールズストーリーテラーとしても破格であることを嗅ぐ。

ばっさりとした切れ味の、気が違ったみたいな達観。

アゲてオトす、転がしのブリッジ

ヴァースやオープニングの基本のコード進行は

|Ⅰ|Ⅰ7(ⅣのⅤ)|Ⅳ|Ⅳm|

曲のキーはF。トップノートが、

|ファー|ミ♭ー|レー|レ♭ー|という動きになる。完璧な半音進行ではないけど、クリシェ的なやつだ。

ボーカルの「らだだ・・・」長6度跳躍上行が気持ちよく抜ける。

ブリッジ(Cメロ?)のコード進行もいい。

|Ⅵ|—|ⅡM(ⅤのⅤ)|—|
|Ⅴ|Ⅰ|Ⅳ|—|
|ⅡMの1転(ⅤのⅤ)|—|Ⅴ|—|
|ⅢM(ⅥのⅤ)|—|→Ⅰへ

(度数で書いたらなんかようわからんようになったのでコードネームにする)

|Dm|—|A|—|
|C|F|B♭|—|
|GonB|—|C|—|
|AonC♯|—|→Fへ

(ざっくりデフォルメしたコードの模倣例。)

コードチェンジの尺を変えて、転々とさせたりひっぱったりして、緊張感を生んでいる。

で、このブリッジの後半からはベース音をだんだん上行させていく。気持ちも高まる。

高まるのに、ここのブリッジ部末の歌詞の単語は“submarine”。深く潜るものの象徴だ。音楽は「アゲ」て、歌詞で「オト」している! なんて、対比がきいてるんだろう。しかもオマケ?に“asshole!”とつく。さすが、尻の穴。

やればできるひとり多重録音

スティーヴィー・ワンダー、レニー・クラヴィッツ、奥田民生、斉藤和義、そしてベン・フォールズ。「本人による多重録音」を思ったときに、私の嗜好で思い出す人たち。この山もまた高く果てしない。私はせいぜい裾野の芥子粒みたいなワナビーズに過ぎないが、この人たち、そしてベン・フォールズを見ていると面白くてならないし、向上心が燃え上がる。

比較にならないが、私とて、「やればかならずできる」ことを知っている。それを教えてくれるのが、ひとり多重録音なのだ。すでに私の人生の半分以上を占めている活動がそれである。どんなに無理だと思っても、絶対できるのだ。それは、やったからにほかならない。それも、たったひとりでだ。

青沼詩郎

ガーシュウィン『Rhapsody in Blue』のモチーフが最後のほうで顔を出す。音楽愛に満ちた気迫と熱狂。
彼らの代表曲のひとつかも? ドラマ『ロング・バケーション』にこの曲が使われたとか。(日本での知名度をあげるのに一役買った?)

パンキーでクレイジーな弾き語り。

こんなゴージャスなのもあった。

Ben Folds 公式サイト
http://www.benfolds.com/
インタビュー動画なんかも載ってます。英語。

早分かりベン・フォールズ
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/benfolds/special/