短調ブームからのジブリバトン

最近私が味わった曲…『ゲゲゲの鬼太郎』、『益荒男さん』(くるり)、『ちいさい秋みつけた』、『君をのせて』(『天空の城ラピュタ』主題歌)。

どれも短調の旋律を有した曲。

今日も短調をテーマに音楽体験の蒐集にあたろうかと思ったけれど、ちょっと外してみることにした。

となりのトトロ エンディングテーマ

『君をのせて』から、ジブリ作品関連。井上あずみが歌う、『となりのトトロ』。アニメ映画『となりのトトロ』主題歌(エンディングテーマ)・イメージソング。

イメージソングとして1987年にシングル発売、映画が公開された年の1988年に主題歌としてあらためてシングル発売とWikipediaにある。

井上あずみのシングル『となりのトトロ』

アレンジ、歌メロ、コードについて

カリンバ?のイントロ。エスニックなパーカッションとともに出だし、キラーワード「トトロ」が早速登場。舞い上がるようなストリングス。コヨコヨと揺れたシンセ?のきらっとした分散和音。4つ打ちビートがどんどん歌を運んでいく。

歌い出しは一拍目を休符にした弱起。4分音符で強拍をとり、8分音符で細かくフレーズ毎の出口に移勢を起こす歌メロ。8分音符の同音連打や順次もBメロ?付近に現れる。

サビで、イントロにも顔を出したキラーワードで主役ワードの「トトロ」。強拍で「トトロ」と歌い出すが、すぐさま繰り返す「トトロ」でウラ拍フレーズになる。その2小節の音形を、コードを変化させつつ2度くりかえす。

サビの5小節目“森の中に”(2番は“月夜の晩に”)のところで、アタマを一拍タメてⅣm(サブドミマイナーとも)コードを歌メロでも分散和音でトレースしたフレーズ。

折り返しサビの大詰め“子供のときにだけ”(2番“もしもあえたなら”)のところで、曲中いちばんの大跳躍。オクターブの旋律音程。続く“あなたに訪れる”(2番“素敵な幸せが”)では8分音符での順次+跳躍で曲中随一の細かい歌割り。結びの句“不思議な出会い”(2番“あなたに来るわ”)では短7度跳躍を経て主音に着地。

2番を歌ったら、主和音のFから長3度下の和音D♭をドミナントにG♭調へ。元の調の半音上に転調して再びサビ。

作詞は宮崎駿、作曲は久石譲井上あずみの歌とあわせて、『天空の城ラピュタ』主題歌『君をのせて』(先日このブログで取り上げた記事はこちら)と同じ顔ぶれ。

歌詞について

“誰かがこっそり 小道に木の実うずめて”
“雨降りバス停 ずぶ濡れおばけがいたら”

トトロを思わせる表現。

“森へのパスポート”はなんて素敵な喩え。いつもの営みの森への通行手形でもあるし、トトロみたいな、今まで知らなかった、とびきり特別でびっくりしちゃうような何かに出会える不思議の森へのチケットかもしれない。

“トトロ” 百年届け

曲はおおむね、詞先で作ったのではないかと想像。“トトロ トトロ トトロ トトロ”のリフレインは百年先に届くのでは?(あとおよそ68年か) 「トト」でも「トロ」でもなく、「トトロ」。この固有名詞の由来について、「所沢(作品の舞台モチーフのひとつ)にいるとなりのオバケ」を縮めたとも、宮崎駿の知人の少女が所沢を「ととろざわ」と発音したともある(Wikipedia→作品のモチーフ)。ホントか知らないが、幼い子の発音の至らなさほど可愛いものもない。

(本文中“”で括ったボールド・イタリック体部分は『となりのトトロ』より引用、作詞:宮崎駿)

青沼詩郎

となりのトトロ サウンドトラック集(久石 譲)
『となりのトトロ』ほかを収録した『スタジオジブリの歌 -増補盤-』

ご笑覧ください 拙カバー

青沼詩郎Facebookより

“エイトビートの刻みがぐんぐん押し出していく。アタマを1拍あけたヒラウタの歌い出し。サビは小節アタマの強拍にキラーワードの「トトロ」が来るがすぐさま反復時に移勢が起こる。4分音符の順次や跳躍の分散和音、8分音符の順次や同音連打、強拍と弱拍間の移勢などでこまかくメロディに変化と豊かさを与えている。主和音Fから長3度下のD♭を経て元のFの半音上の調G♭に転調。フェード・アウトでフィニッシュ。ファンタジーはどこまでも続くかのよう。同名のアニメ映画『となりのトトロ』(1988)主題歌・イメージソング。作詞:宮崎駿、作曲:久石譲、歌:井上あずみ。”

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