JUDY AND MARYのファンでした。私がはじめて買ったアルバムはJUDY AND MARY『POP LIFE』。佐久間正英プロデュース作。

JUDY AND MARY解散後のメンバーの動きには疎い私。はじめて買ったアルバム『POP LIFE』のとき、私は小学生。それからいろんな音楽を知りました(と言っても、せまい範囲中心にですが)。

YUKIは2002年2月6日にソロで初めてのシングル『the end of shite』を出し、それからひと月ちょっと後の3月27日にアルバム『PRISMIC』を出します。スピッツやクラムボンのミト、亀田誠治ほかが関わってつくられたアルバム。このあたりのYUKIのソロキャリアのはじまりについて、ジュディマリファンの小学生だったあの頃から20年以上経ったいま、ようやく知り始めています。

歓びの種』(2005)というYUKIの曲がいいなと思っていました。ふと手を伸ばして知っていたアルバム『Wave』(2006)に入っていました。これが、実写映画の『タッチ』(漫画『タッチ』を原作とする)の主題歌としてつくられたものだということは今回初めて知りました。監督は犬童一心。

『歓びの種』は作詞がYUKIで、作曲が蔦谷好位置

蔦谷好位置は作詞・作曲・編曲・プロデュース業で私の好む多くのミュージシャンと関わり、とても信頼され重宝されている様子。彼のキャリアについて追うことも、私の世界を広げてくれる予感に満ちています。「好位置」という名前は本名のもじりなのだろうと想像。実際、彼の本名が恒一。愛称は「ナイスポジション」だそう(コウイチと普通に呼ぶより長い)。北海道出身者というくくりで見れば、YUKIとは同郷です。

https://www.youtube.com/watch?v=MMtU0Qqua9A

ひらひらとYUKIが舞う、公式チャンネルで公開されているMV。


順次下行ベースのAメロ。歌詞にボリュームがあります。Bメロでは特にリズミカルに、16分音符の細かいアウフクタクトを多用して歌詞を乗せ、キレの良さとたゆまぬ緊張感を保っています。

BメロはⅣの和音から始まるのですが、Bメロの折り返しのアタマがⅣ♯m7(5♭)なのが巧いなと思います。蔦谷好位置の技でしょうか。ドキッとしました。

声の美味しいところが出続ける、ある特定の音域が登場している時間が長い歌メロディのポジションです。私も自分で移調して歌ってみてわかりました。地声っぽい発声がキャラクターの魅力の一部になっているYUKI。この曲は彼女の表現を堪能できる、ミドルテンポで酸っぱさ甘さ苦さが堪能できるバラードだと思います。

何度聴いても感動。ピアノストロークとストリングスアレンジがエモーションをずんずん動かします。編曲者の島田昌典が大きいかもしれません。彼もまた、ビートルズなど黄金のたくさんの音楽に衝撃を受け、敬愛した人でしょう。私が気に入った音楽を発信している人たちのルーツをたどると、ビートルズやたくさんの輝く音楽が必ずあります。

この曲がリリースされた2005年、YUKIの私生活が作曲や作詞にどう影響したかはわかりませんが、そんな一人の人間のリアルに及ばす想像を含めて、この曲にひたすら感動する私がいます。

青沼詩郎

YUKI 公式サイトへのリンク

『歓びの種』を収録したYUKIのアルバム『Wave』(2006)。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『歓びの種(YUKIの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)