かもめ児童合唱団の光

毎日、弾き語り動画をYouTubeにアップしているが何を歌っていいかすぐ困る、ネタが尽きて。かもめ児童合唱団はそんな私に光をもたらした。児童合唱としてはまさかの選曲で、音楽的な挑戦をもって素敵な歌をかましてくれる。いわゆる児童合唱っぽくないのが魅力。

かもめ児童合唱団は、みんなで歌えば合唱だ! というソウルを持っている。その通りだと思う。そんな、かもめ児童合唱団の2019年のアルバム『ワンダフル・ミュージック!』からシングルカット(7インチ・アナログ盤)されている曲の原曲が斉藤和義ずっと好きだった』。

斉藤和義 ずっと好きだった

斉藤和義のシングル、アルバム『ARE YOU READY?』(2010)に収録。 作詞・作曲:斉藤和義。

原曲リリースは2010年。資生堂のCMソングとして作られた。同級生と当時を過ごした思い出とか、彼らと同窓会で再会したときを描いたようなそんなイメージの曲。

歌詞(リンクはこちら)に

“俺たちのマドンナ イタズラで困らせた”(『ずっと好きだった』より、作詞・作曲:斉藤和義)

という節がある。これを聴いて、私は「先生」を想像した。

マドンナって、「あいつはクラスのマドンナだ」という用例のように立場が同じ者に対してつかうことばという先入観を私は持っていた。でも、なんとなく『ずっと好きだった』に登場するこの「マドンナ」という響き、その用い方には「年上っぽさ」を感じた。

気になっている、というか実は好きという気持ちを寄せている先生。その人に、イタズラなんかして、ちょっと怒られてみる。そうなりたかったから、そうした……期待どおり、怒ってくれた。きょうも接触、コミュニケーションの機会をつくれたぜ、しめしめ……みたいな。

音楽はとてもストレートなロックンロール調。そして気になる「マドンナ」との当時(“16才”と。)、おそらく大人になってから同窓会(?)などしたときであろう再会のシーン。恋心。わかりやすいテーマを実直にわかりやすく表現するのは尊いことだ。真っすぐな主題『ずっと好きだった』に感服する。というか、斉藤和義の発する音楽たちはことごとく私の心をうばう。MVをみてほしい。

完璧!と喝采をおくりたくなるクオリティのビートルズのルーフトップコンサートのパロディ。(サブスク等加入している人はフルバージョンをみてほしい)

キャストも楽しい。リリー・フランキー、2丁拳銃・小堀裕之、俳優の濱田岳。珍奇な組み合わせなのに、ビートルズパロディの大義のもと、見事に協調している。

音源は例によって斉藤和義によるひとり多重録音。名人芸と称賛したい。単にヒット曲として知っていたけど、パロディ元やキャスティングなど、愛と尊敬の広がりが大きい曲だと思い知った。

リリース後約1年、ちょうど震災や原発事故があって、本人による替え歌『ずっとウソだった』がネットをざわつかせたという。知らなかった私はボンヤリしていたのか……いや、引きこもってひとりで音楽を作ったり録ったりしていた。

COVID-2019が影響をもたらした昨今(この記事の執筆時:2020年)も、私はひきこもって自分のやるべきと思うことをつづける。ただ、社会がいまに至るよりずっと前の頃の私より100倍、ヒトの音楽を聴くようになった。『ずっと好きだった』と出会い直せたのも、そのおかげである。感謝していいのやら複雑でもあるが、とにかく素晴らしい音楽や『ずっと好きだった』のような純粋実直な個々の楽曲ほどありがたいものは稀である。

青沼詩郎

斉藤和義 公式サイトへのリンク

参考Wikipedia >ずっと好きだった

『ずっと好きだった』を収録した斉藤和義のアルバム『歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017』(2018)

『ずっと好きだった』を収録した斉藤和義のアルバム『ARE YOU READY?』(2010)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ずっと好きだった(斉藤和義の曲)ギター弾き語り』)