天文学者になればよかった さだまさし
1978年、さださんの代表曲のひとつ『案山子』が入っているアルバム『私花集』に収録されている曲。
天文学者って、ドロップアウトした先で代替の道として成立するほどイージーなの?というツッコミを誘います。うまくいかないことも込みでの幸せがあるよといってくれているような滋味深さがあります。ちょろちょろとしたうまくいかないことの蓄積も、天文学の規模感からしたら小さいぜ!という励ましをくれます。
シンセサイザーの音色がベースととっていたりオブリガードやウワモノとして機能しており、ビートにはいきおいがあり、それをさださんの繊細な歌唱とそのハーモニーがまとめあげておりさださん作品としてしか成立しえない遠くぽっかり浮かぶ星のような個性を備えた豊かでファニーでちょっとせつない絶妙なサウンドになっています。編曲は渡辺俊幸さん。原曲、聴いてみてください。
天文学者になればよかった さだまさし 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:さだまさし。さだまさしのアルバム『私花集』(1978)に収録。
さだまさし 天文学者になればよかった(アルバム『私花集』収録)を聴く
広い範囲を対象に天体観測をしているみたいに、音の様相が豊かに変わりお茶目です。さださんのリードボーカルがダブルが基本になっていてバックグラウンドボーカルの景色も箇所によって変わっていきます。エンディングはもうドゥ・ワップだか、あるいは私にユーミン(愛称で失礼します)の『ルージュの伝言』などを思い出させる賑やかで楽しげな雰囲気です。
右に定位した撥弦楽器のアップビート(裏拍)が耳を惹きます。ハープシコードかな?と思ったのですが、12弦のアコギのピック弾きかもしれません。
イントロの胸のときめきが坂道をかけおりていくみたいに感じるストリングスとピアノの8分ストロークに疾走感があり心をつかみます。要所のピアノとかあるいはベースとシンセサイザーが重なるオカズ(フィルイン)がサービス精神旺盛です。
ジュンジュンとベースのサウンドがシンセ。ベースギターじゃなくてシンセ。楽曲のキャラクターを握る、SFっぽいデザインですが先鋭というよりはコミカルなアプローチでさださんの笑いをとりにいって気づいたら泣かせて(感涙させて)いるみたいなキャラクターとよく協調しているのではないでしょうか。しっとりときかせるバラードの美曲レパートリーのイメージも強いさださんですが、本曲はポップで愛嬌に満ちた魅力が特筆です。
ドアがはずれる窓が落ちるトイレも壊れる……君は主人公にとっての蝶番。つがいじゃなくなったらただの蝶だ。生活空間のズッコケドタバタ劇をおもわせるコーラスの歌詞が映像的な動きに満ちており、動的なサウンドと相まってうまくいかない(からの、うまくいく?)起伏に満ちた人生を笑いとばし、主題の『天文学者になればよかった』で360°ひねりすぎて地球にもどってきてしまってまた宇宙をながめているみたいな様相に拍手喝采。
青沼詩郎
さだまさし オフィシャルサイトへのリンク 2026年5月13日、ソロ通算46作目のアルバム『神さまのいうとおり』をリリース(シングルの通算枚数じゃなくアルバムで46番目、目を疑う疑う数字です)。妖狐くらい長生きするのかな?と思うほどに、いい意味で変わらないさださんらしい1曲目『ミモザの小夜曲』からどうぞ。
『天文学者になればよかった』を収録したさだまさしのアルバム『私花集』(1978)