サマーヌード 真心ブラザーズ 夏のシズル

詰めかける言葉のリズムに緩急があります。どんな共同作業で曲をふたりで書いたのでしょうか。タイトルの「サマーヌード」がもう千金のキャッチコピー。日清カップヌードルの季節商品、サマーヌードルのタイアップを前提に制作されたといいます。駄洒落やん。そういうことか。それでいい。と思いました。

情景描写がおしゃれ。「止まらない冗談を諭すよについてくるお月様 走る車の窓に広げ」。走る車の窓に広げるのはお月様の光の反映なのかなと想像しましたが「はためくTシャツよ誇らしげ」、と続く。どちらに係るようにも思えるひとつづきの作詞です。いずれにせよ、歌詞が夏の周辺の心象をうるうる、きらきらとシズル感をもって描かれます。ふと舞い込む夏の夜の涼しさを「冬からの贈り物」と表現するなど、イマジネーション上の季節には幅すらもたらしていて夏をおしゃれに着飾ります。「胸と胸 からまる指 ウソだろ 誰か思い出すなんてさ」と、今ここにいて目の前にある情愛が記憶のなかの別の恋愛とも共鳴しマーブル模様が混沌としているのを想起させるサビの歌詞も胸が苦しくも高鳴る絶妙な仕掛けです。

コード進行も主調のDメージャーの中におさまるコードに限らず、F#やBなど副次調Ⅴ度の和音なども積極的に導き入れて音の響きの面でもドラマを仕掛けます。

サウンドが肉食。ストリングス、ホーン、女声のバックグラウンドボーカル。エンディングにはおもむろにDo the hustle! のヴァン・マッコイの唐突な引用。リズミカルでメロウなのに快活で、尖っているのにスムースです。サウンドは黒(ブラックミュージック)っぽいが歌詞には「白い朝」などとも……🙇

作り手(表現者)もリスナーも一緒に肩を組んで鼻の下をのばしてデレデレ楽しめるような、エンターテイメント音楽への誠意や愛情を感じもするところが真心ブラザーズのどまんなかという印象も受けます。

サマーヌード 真心ブラザーズ 曲の名義、発表の概要

作詞:桜井秀俊・倉持陽一、作曲:桜井秀俊。真心ブラザーズのシングル(1995)、ベスト・アルバム『B.A.D.(Bigger and Deffer) 〜MB’s Single Collection』(1997)に収録。

真心ブラザーズ サマーヌード(ベスト・アルバム『B.A.D.(Bigger and Deffer) 〜MB’s Single Collection』収録)を聴く

ベーシックリズムの演奏が卓越しています。針の穴に糸を通すように緻密にコントロールされたハイハットのシックスティーンの揺らぐダイナミクスの振れ幅。正確なあまり冷徹さを覚えるほどのキックが寸分違わないタイム感で16の定規の目盛りに点を与え、ぎらつくベースの音色がぎゅっとオシリをつねりあげます。ピアノの16のはずむような音の切り方も完璧。そこにワウギターが絡みつき色っぽい。ナノマシンで毛細血管をつなぐ手術も成功させるような精密なグルーヴです。

バフーと低音金管はトロンボーンなどでしょうか。ストリングスもうごめく低域と高域で定位を分かち、夏の青春を謳歌するクラスター(房)のパートそれぞれの輪郭と全体の和がリスナーを恍惚へ導きます。

これら拍手喝采のアレンジをYO-KINGさんのあばれるだしそうな声色による正確無比でパワフルなリードボーカルが真正面から打ち返し場外ホームランで叩き返します。エンディングには肉食女子(?)がそのリードボーカルすらとって食わんばかりの声量で夏の小麦肌をぎらつかせ、ヴァン・マッコイリスペクトのフルートのモチーフが最高のご冗談を横切らせ、長い長いゆっくりとしたフェードであばれる心を落ち着かせ記憶の夏のフレーミングを確実に遂行します。傑作すぎる。

青沼詩郎

参考Wikipedia>サマーヌード (曲)B.A.D.(Bigger and Deffer) 〜MB’s Single Collection

参考歌詞サイト 歌ネット>サマーヌード

真心ブラザーズ 公式サイトへのリンク

『サマーヌード』を収録した真心ブラザーズのベストアルバム『B.A.D.(Bigger and Deffer) 〜MB’s Single Collection』(1997)

アナログもあり。

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『サマーヌード(真心ブラザーズの曲)夏のシズル【ギター弾き語り・寸評つき】』)