まえがき

真心ブラザーズのキャリアの最初期には『パラダイスGoGo!!』というテレビ番組への出演があったようです。番組内のコーナー『勝ち抜きフォーク合戦』というのがあったそうで、それに出たと。司会になぎらけんいちさん、審査員にかまやつひろしさんや山田パンダさんがいたそうな。観てみたい!

彼らの存在証明といっても良さそうな『どかーん』も、番組内で演奏したんでしょうかね。ファーストアルバムの1曲目に入っています。

どかーん 真心ブラザーズ 曲の名義、発表の概要

作詞・作曲:THE 真心ブラザーズ。真心ブラザーズのアルバム『ねじれの位置』(1990)に収録、シングルカット。

真心ブラザーズ どかーん(アルバム『ねじれの位置』収録)を聴く

「どかーん」の主題の単語を活かした強烈な歌い出しが千金。「どかーん」は二文字目の「か」にアクセントがあります。でも、頭の位置は「ど」に合わせてある。強拍、すなわち表拍に「ど」が位置していて、すかさず裏拍に二文字目の「か」が続き、しかもそこに単語のアクセントの位置がある。強拍で鋭くわかりやすく歌い始めつつも、瞬時に爆発的な推進力を得て重力のなかを泳ぎ回るのです。

すかさず続く「景気よく」という単語も、かなり快活なテンポのなかでありながら16分割のグルーヴではめこんでいる点も秀逸で、「どかーん」の単語で強烈に印象付けた刹那の目から火花が出るリスナーの体感にすかさず追い討ちをかけます。討ち取られたり、リスナーの心。

ドチャドチャした左右のアコギのストラミングが傑作。もうがむしゃらすぎるしそれでいい。それ以上もありません。

ベースがぶいぶいと忙しい。倍速再生しているテープかよと思うくらいの動きぶり。サウンドはプレーンです。

カツっと輪郭が明瞭でアクセントの効いたスネアの音色もまた千金。いっそがしいテンポ感を統率するのはこのドラムプレイです。シンバルの左右の定位の振り分けでワイド感が出ます。

スネアのカツっというアクセント感も絶大ですが、右定位に手拍子が加えてあってチャパ!と強い破裂音で爆裂感の表現を助長します。

鍵盤ものもエレキギターもなし。倍音をわさわささせるパートがないので、二人の声の純朴で野生味ある存在感がストレートに風通しよく映し出されています。エレキギターなどを入れても間違いなくフィットするエネルギーある楽曲で、エレキギターだろうとなんだろうと間違いなく打ち負かすあるいはちゃんと従えてくれるのは目にみえているのですがそんな「if」はどうでもいい。

冒頭に20余秒のアナログタイマーの動作音のような演出。秒針のようなチキチキ音がつづき、最後の数秒でけたたましくベルが鳴りはじめます。

エンディングはダウンストロークのアコギがこれでもかと地面に杭をうつ。バンドのかきまわし、アコギのかきまわし、ボーカルなんか謎に「どぼーん」などと言っている?!この展開も10秒とかで、冒頭のタイマー展開とエンディングのかきまわしをのぞくと曲の本体は1分20秒もないんじゃないか。テレビかCMのタイアップを前提に生まれたみたいに思えるサイズ感は、結果として末長くさまざまなCMやテレビ番組に好んで使われること数多となるようです。野球応援の定番でもあるみたいですね。どかーんと景気よく! 本塁打がいかにも出そうな曲。間違いないね。

青沼詩郎

参考Wikipedia>どか〜ん

参考歌詞サイト 歌ネット>どか〜ん

真心ブラザーズ 公式サイトへのリンク 弾き語りツアー「真心道中歌栗毛 2025」で各地を回っている最中の真心ブラザーズ(2025年7月時点執筆時)。

『どかーん』を収録した真心ブラザーズのアルバム『ねじれの位置』(1990)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『【寸評つき】景気も爆発?! どかーん(真心ブラザーズの曲)ギター弾き語り』)