日本の夏が来る(虫除けグッズの宣伝か)。
枯葉の季節はまだ先だが、そこらに常緑樹がある。
一年中、すこしずつ葉を落としては、また生やす。
日々、代謝。
創作の連鎖
枯葉で思い出すのは『枯葉』という曲(素直)。
ジャズでも有名で、私が思い出すのはビル・エヴァンスだ。
私にジャズの何が語れるわけでもないけれど、ビル・エヴァンスは好き。
ちょっと検索しただけでも、この曲の広がりと背景の規模は大きいはとわかる。
ジャズのイメージを強く持っていたけど、この曲はシャンソン『Les Feuilles mortes』であり、アメリカに渡った『Autumn Leaves』であり、日本でいえば『枯葉』だ。
映画『枯葉 〜夜の門〜』(1946年、マルセル・カルネ監督)の挿入歌。
出演のイヴ・モンタンが歌った。映画はDVDが出ている。
さらにその映画の着想は『Rendez-vous』(1945年、ローラン・プティ・バレエ団)からだという。劇伴としてジョゼフ・コズマが作曲したメロディが『枯葉』の原作だ。
歌詞はジャック・プレヴェール。映画『枯葉 〜夜の門〜』の脚本家でもある。
それを英語の詞にしたのがジョニー・マーサー。
(参考にしたWikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%AF%E8%91%89_(%E6%AD%8C%E6%9B%B2)
日本語の訳詞では中原淳一、岩谷時子、佐伯孝夫などが見つかる。歌い手は淡谷のり子、越路吹雪、岸洋子…枚挙に暇がない。
歌詞、音楽について
回顧、輪廻を感じる歌詞。落葉がそれらを象徴しているのか。人生、愛、歌を軸に、時間を横断した情景描写。儚さが胸に残留。この感情も、やがて枝を離れて落ちる。
コーラス(サビ)の同形反復のメロディとコード進行が妙。古今東西で愛され続ける美しさ。
(in A minor)ラシドファ・・・ソラシミ・・・ファソラレ・・・ミファ♯ソ♯ド・・・
コード【ⅣーⅦーⅢーⅥーⅡーⅤーⅠ】
回顧や反芻、輪廻を表現した音楽。ひらひらと身を翻しながら落ちる木の葉。その振幅。地面に着地したかと思えば、かき集められ、どこかに運び去られる。燃やされるかもしれないし、肥やしにされるかもしれない。取り残された枯葉の何枚かが、そのまま木の根元で朽ちていく。いつしか、枝にはまた新しい葉が芽吹く。
むすびに
曲の背景と生い立ちが広漠。調べるのに終始した。ことばが出てこない。完璧な音楽の設計に口を噤んだ。この曲との関係は、今始まったばかりなのだろう。また味わい直したい。
青沼詩郎