すべてはぼくの輪郭のなか
サードアルバム『リンゴ』に入っていてシングルカットもされています。ジョージとリンゴご本人の競作名義。歌詞がせつない。年を重ねて白髪になっても君にここいてほしい、抱きしめたい。けどぼくが手にしたのはたった1枚の写真だけ。君はもう戻らないと悟るだけ……みたいな(だいぶ違ったらごめんなさい)。
ですがサウンドが豊かです。ヴァイオリン族、低音の金管、カスタネットがカラカラっと轟きチキチキとタンバリンが鳴り、ジョージのお印のような12弦ギターもよぎる。みんないる、みんなついてる!という感じがあるのに、それは記憶のなかのいろんな時代、主人公と関与した人、もの、ことの写真たちが、ただただ胸のなかの棚のアルバムにおさまっているだけ……記憶も思い出もここにあるけれど、現実のみんなは今日も世界のどこかでちりぢりに動いて……そんな様相を思います。
リンゴ・レパートリーらしく、限られた声域で豊かな声を出す……本曲も6度ちょっと程度の音域が歌えればおさまるリードボーカルメロディ。そこが、豊かな未来や過去をみるけれど、すべては僕個人の輪郭におさまっているだけ……という楽曲のセンチメンタリズムと重なって、描いているものと楽曲の音楽的な特徴が一致しているなとしみじみうなずくところです。
Photogragh Ringo Starr 曲の名義、発表の概要
作詞・作曲:Ringo Starr(Richard Starkey)、George Harrison。Ringo Starrのシングル、アルバム『Ringo』(1973)に収録。
Ringo Starr Photogragh(アルバム『Ringo』収録)を聴く
常に音が群像。永遠に続きそうなフェイド・アウト。リンゴのボーカルも常にダブルやハーモニーを纏います。記憶のなかのぼくは常に誰かと一緒にいる。誰かとの思い出をしまっているのでしょう。君といたい、誰か仲間や友達といたいという主人公の想いの強さを感じます。反証として、主人公は孤独感の強い人格なのかもしれません。
とにかくに終始満たされきった音像。12弦ギターの煌びやかなストラミングや対旋律、右側寄りのピアノのサウンドが対になります。ボーン・ボ・ボーン……と角の丸いベースのサウンドはサスティンが収束するタイム感まで左手のフレットを押さえる以外の余っている指のかぶせ具合でコントロールしているのじゃないかと想像する絶妙さです。ドラムスも的確でシンプルですがエンディングでフェードアウトがかかり始めたところで華やかに遊び始めます、ドコドコタカトコ……
木管楽器の空高く舞い上がればドコドンとティンパニがインパクト。ホルンの豊満な唇が吹き上がりバフーンと野生的なテューバだか金管が機関車のごとく唸ります。すべてがここにある。それは想像や願望も込みの青写真なのかもしれません。
青沼詩郎
参考Wikipedia>リンゴ (アルバム)、想い出のフォトグラフ
『Photogragh』を収録したRingo Starrのアルバム『Ringo』(1973)