信念の旅 〜Try’n To Get To You R&Bグループの”The Eagles”の曲〜

リック・ネルソンの実演で知った曲で彼の曲だと思い込んで鑑賞していたのですが、オリジナルをもっとさかのぼれる楽曲でした。

最も早い時期にこの楽曲の録音を発表したのはイーグルスでしょうか。1954年のシングルだといいます(『ホテル・カリフォルニア』が代表曲のあのバンドを思い浮かべてしまいましたが同名のR&Bグループのthe Eaglesだそうです)。エルヴィス・プレスリーのシングルとアルバムへの収録もあります。こちらは1956年。リック・ネルソンはエルヴィスから影響を受けた歌手だといいます。リックの歌声をきくと、伸ばした歌声のお尻をわずかに細かく揺らすフィールなどにエルヴィスっぽさを感じるところです。本曲の実演家にはロイ・オービソンもいます。色んな歌手の実演を聴き比べるのも面白いでしょう。

手紙で確信する愛をよりどころに昼も夜も旅を続ける主人公の信念を感じる楽曲の内容。いまでこそチャットアプリ、ビデオ通話など離れていても日常的に連絡をとることができるのはあたりまえですが、そういう文明の利器がない時代、手紙で確かめたっきりの愛を心に、離れている時間をひたすら信用によって過ごし続けるのがそれまたあたりまえなわけです。離れている相手が今この瞬間何をしているか、逐一わかりはしないのは現代でももちろん共通するでしょうが、わずかな音信をたよりに信じて想いを純朴に保つことのスケール感が違うよなとしみじみ思います。

楽曲の雰囲気はリックの実演を聴く限りはのどかでのんびりしたフィールがあります。歌手によりきでしょう。

Try’n To Get To You R&Bグループの”The Eagles”の曲 作詞作曲名義、発表についての概要

作詞・作曲:Charles Singleton、Rose Marie McCoy。The Eaglesのシングル(1954)。

R&Bグループの”The Eagles”の曲 Try’n To Get To Youを聴く

リードボーカルの表現の豊かなこと。瞬間的に息をぶつけるみたくアクセントをつけてすかさず緩めます。バスケットボールの選手のキビキビした動きみたいです。めちゃくちゃいやらしく半音くらいしたからズリあげるみたいなしゃくり方。マイクをおおいつくさんばかりの強烈なまぶしいダイナミクス。そして伸ばした音程のちりちりひゅるひゅるとした揺らし方。エルヴィスの歌唱の源流もこうしたスタイルにあるのかなと思わせます。

ドラムがスネアとキックドラムだけでほとんど成立してしまいそう。響き線だけがさわさわいう程度の触るだけ、くらいのダイナミクスとパカンとオープンショットの音色のスネアを使い分けます。もうほとんどこれでオーケー。キックドラムが入っているのかいないのか、何をやっているのかあんまり聴こえません。イイトコロでようやくライドシンバルが鳴りはじめる。ベースがのんびりとした地平のなだらかな音景を敷きます。

エレキギターが撫でるようなオルタネイトピッキングでトリプレットのグルーヴを表現します。ピアノの指さばき軽やか。減衰系楽器のリズム&コードプレイが軽い質量感で、ハーモニーをボーカルの群像が描きます。個別の線が埋没しない色気があります。音の密度と各パート間のセパレーションの塩梅がきもちよく、そして圧倒的に前にくるリードボーカルが鎮座する主従関係がモノラルの音像で成立しています。こんなの絶対アナログレコードで聴きたいよね。サックスがブバブバ、とヤギがうめくみたいでのどかです。

愛の信念を元手に旅をするにしても、景色が草っ原や土なんです。現代の舗装された都市とはフィーリングが違います。

青沼詩郎

参考Wikipedia>Tryin’ to Get to YouThe Eagles (rhythm and blues group)

参考歌詞サイト Genius>Try’n To Get To You

オリジナルリリースの円盤や現在流通していて入手可能な円盤の特定が困難。数多の配信コンピに収録されています。調べようにも検索にあたってホテル・カリフォルニアのイーグルスばかりがヒットしてしまいます。