サビの繰り返しと形容詞の数珠
サビはじまりでイントロからぶちアガる傑作。おぼえやすくシンプルなサビが、曲中で回数豊富にやってきます。良いサビはくりかえすほどにヒットの規模があがるという仮説があります。大事MANブラザーズバンドの『それが大事』よろしく。
主題のズッコケ男道の表現するドロ臭さが良いですね。スベっても体勢をくずしてもなんでもかんでもが自分の都合よくなびくことがなくても、自分の道を楽しく生きたいと思わせます。きばって、ふりきって、ねばって、がっついて、はいつくばって……多様な形容詞で「ズッコケ男道」とはいかなるものなのかの質感を、繰り返しの多いサビのなかで地道に削り出していくのです。
サビの繰り返しが多いうえ、楽曲の中で順序に忠実な一方通行の緻密なストーリーがドラマ脚本のように展開するタイプの歌詞ではなく、特にエンディングに向かうサビの繰り返し部分は韻の響きを尊重しながら細部のバリエーション(変化)でみせていくタイプの歌詞になっているのでたとえば彼らが「THE FIRST TAKE」バージョン(2024)で発表しているように楽曲のサイズを短くアレンジしてもちゃんと楽曲の骨子を押さえたうえで必要十分な聴きごたえを確保できる優れた楽曲になっています。もちろんオリジナルサイズで鑑賞すれば5分超えの長尺の資格もきちんと満たすのです。
ボーカルの音域がほとんど1オクターブに収まります。いいテンション、ハリ、ツヤが保てるごく限られた音域にボーカルメロディの音程が曲中のほとんどのあいだにおいてとどまっているので、声のパワフルな活気あふれる美味しい響きが楽曲のあいだじゅうずっとフルパワーでつづくのです。
編曲もまた美味。ゴダイゴのモンキー・マジック、ウルフルズのガッツだぜ!!、あるいは氣志團のOne Night Carnivalなどのサウンドを私としては思い出します。原曲の編曲がムーンライダースのメンバーの白井良明さんです。
ズッコケ男道 SUPER EIGHT 曲の名義、発表の概要
作詞:上中丈弥、作曲:ピエール。SUPER EIGHT(関ジャニ∞)のシングル、アルバム『KJ2 ズッコケ大脱走』(2007)に収録。
SUPER EIGHT ズッコケ男道(アルバム『KJ2 ズッコケ大脱走』収録)を聴く
複数のリードボーカルが入れ替わり立ち替わりにぎやかではなやかです。いずれのメンバーも楽曲の本質、「ズッコケ男道」の主題をインストールして協調しつつも負けじと己を強調していて、それぞれに個性がありつつも同じ方向をみていていさぎよいです。
よっつうちのキック。オモテと裏でオクターブのはしごをのぼりおりするベース。1小節に4ターンほどの間隔でワウペダルをあおるエレキギター。この布陣ですでに勝った気がします。ワウギターを左定位に、右にはリズムのエレキがいてカッティングがキレています。
サビが済むと、シンセのリードとエレキのリードが共通のフレーズでユニゾンします。サビに折り返しがあらわれる後半は、このシンセ&エレキモチーフがサビの折り返しに重なってあらわれるところが美味しいです。
間奏でリズムのキメのキビキビした、トリッキーな展開。ここでシンセのピカピカした音色で絡んできて、個人的にはゴダイゴのモンキー・マジック的な勇ましく挑戦的なアティテュードが薫ってきてなおよし。
ファーストテイクバージョンだと曲のテンポがはやいです。ダブルタイムテンポのビートを取り入れていて、間奏のアプローチも彼らのフィジカルへのなじみをより最適化したようなポリシーを感じます。
青沼詩郎
参考Wikipedia>ズッコケ男道、KJ2 ズッコケ大脱走
SUPER EIGHT / INFINITY RECORDS 公式サイトへのリンク
『ズッコケ男道』を収録した関ジャニ∞(エイト)の アルバム『KJ2 ズッコケ大脱走』(2007)
ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『ズッコケ男道(SUPER EIGHTの曲)サビの繰り返しと形容詞の数珠【ギター弾き語り・寸評つき】』)