続きを読む 音の肉体性 米津玄師『STRAY SHEEP』を聴いて この荘厳なトラック数、音色数を持ったアルバムの楽曲たちをあえて生楽器のバンドや、さらには弾き語りで表現するのも「映える」だろうと思う。『STRAY SHEEP』ラストナンバーの『カナリヤ』をほぼ生楽器の音で描ききっていることから、米津玄師の「音」の肉体性への思いを私は感じる。
続きを読む 映画『Cocktail』サントラ 『Don’t Worry, Be Happy』Bobby McFerrin 『Cocktail』サントラで特筆したいのがBobby McFerrin『Don't Worry, Be Happy』。これ、楽器を一切使っていない。完全ナマオトオンリーのひとり多重録音だ。新型ウィルスの流行と巣ごもり活動の隆盛で多重録音する人、その発表や発信が一気に増えた印象があった先の春〜ゴールデンウィーク前後だったけれど、そんなのよりもずっとずっと前にBobby McFerrinはこんな芸当をやってのけた。アメリカのヒットチャートで楽器を一切使わない曲が1位になったのは初めてのことだったそう。
続きを読む 『山口さんちのツトム君』(1976) みなみらんぼうの風 曲がすごい。イントロの多国籍チャンプルーななんともいえない風合い。拍子が変わって、歌がはじまる。レゲエのようなアップビート。でも歌謡曲としての哀愁、歌心が炸裂している。
続きを読む 30年を越えたジッタリン・ジン『夏祭り』 1980年代と1990年代のちょうどはざまにいて、なんだかすごく、何かの黎明期のような気がする。幼かったから、当時の空気をあんまり私は記憶していないしわかっていなけれど、そんな気がするのだ。なんというか、とっても豊かで自由で奔放で楽しい。アカ抜けてもいるし、いなたく(いなかっぽい。いもっぽい)もある。とにかく私はこのプレイリストをすごく気に入ってしまった。
続きを読む 夢想の歌 The Monkees『Daydream Believer』 長く歌われ、多く親しまれる歌はときに「端的」だと思う。その本体を、主人公であるあなたや私ににゆだねている。だから私はこの歌を聴くし、歌いもするだろう。あなたもそうかもしれない。
続きを読む 反町隆史『POISON 〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜』と発想の人・井上慎二郎 音には人間に本能的な注意を促す力がある。案外、幼児でも児童でも青少年でも成人でも、時と場合によっては泣いているその人を落ち着かせる効果がいろんな楽曲に望めるかもしれない。
続きを読む 34歳の白地図 尾崎豊『十七歳の地図』に寄せて 倍も歳を食った中年が、十七歳の若者の歌とようやくちゃんと出会った今日からおよそ37年前のこの時期、ちょうどその作品のレコーディングが走り出したところだったのだ。生きていれば、尾崎豊は54歳。26歳で亡くなったその人生の倍くらいの時間があったら、彼は何をやっただろう。それこそ、34歳の頃には何を? …ぞっとする。私は未だに青っ洟たれである。