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ペルソナ4 大雪とゲーム熱

ペルソナ4の音楽は素晴らしい。すっきりとした線、輪郭、ほどよくアニメ・漫画の絵になっている洗練されたポップなビジュアルと相まって気持ちのよいエンターテイメントになっている。登場人物たちとの関係を深めたり、ペルソナを増やして強くなったり、謎を追うストーリーを進めたりと夢中でコントローラーを握りつづけてしまうのだけれど、その過程にずっと付き添って気持ちよくさせてくれるのが音楽だ。これがすごくいい。R&Bっぽい洗練された雰囲気が主だ。
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夢で見たアイドルのめっちゃいい曲 The Beatles、松田聖子、SMAPを思う

アイドルの歌って、あまりいいイメージがない場合が多い。それは実際に、ハイスピードに量産される現代のアイドルの曲が劣化しているのもあるかもしれないし、もうひとつには手触り(サウンド)の問題があると思う。それっぽい音作りにハメてしまうことで、いい曲なのに「ただの凡百のアイドルソング」として埋もれてしまうことってあるんじゃないか。これは邪推で言っている。私にはアイドルソングに対する博愛が足りないし、知識もない。これからもっと研究するべき分野でもある。
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映画『#ハンド全力』を観て 変化はグラデーション

熊本の震災と、その後、そして現在。それらは、すべてつながっている。どこにも切れ目はない。報道が関心を示さなくなったら、外部の人にとっては「切れて」感じるかもしれないが、そこで生きる人、その心はずーっとずーっと、「コンティニュー」。無段階に続き、絶えず変化したり現状維持に努めたりして光り続けている。だから、先程の「現在と過去をつなぐシーン変移」の演出は、あながちただの技法の話で終わらない。この映画で最も着目すべきテーマの象徴ではないか。
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eastern youthとゴールデンカムイと縄文ZINEとFUJI ROCK

eastern youthの名前はもちろん知っていた。その音楽を、きちんと意識するきっかけだったのが、アニメ『ゴールデンカムイ』のテーマソングになっていた『時計台の鐘』だ。泥臭くてすごく良いなと思っていた。語彙が陳腐で申し訳ない。ごく実直に、カッコイイなと思ったのだ。そうして知っていたeastern youthが、今朝私の前に2018年のフジロック出演時のライブ動画『夏の日の午後』で私の前に現れてくれた。なんて素敵な。
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小山田壮平『THE TRAVELING LIFE』 「壮」なアルバム 〜ファースト・インプレッション・ノート〜

FM802『BINTANG GARDEN 小山田壮平のMUSIC FREAKSりたーんず』(8月23日)の放送の中で、リモートトークゲストの岸田繁は小山田壮平のそれを指して「へんなおじさんのアルバム」と表現した。「壮」には、「おとこらしい。つよい。血気盛ん。達者。」そんな意味があるらしい。厚生労働省提言における定義の中でも、小山田壮平や私の現在の年齢は「壮年期」に区分される。偶然か小山田壮平の名前にも付されたその文字の意味を思う。アルバム『THE TRAVELING LIFE』がそれに重なる。少年〜青年を経た旅のいま、これからを思わせる「壮」なアルバム。これからも「へんなおじさん」の動向を見守りつつ、愛聴していきたい。
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BUMP OF CHICKEN『ダイヤモンド』 省押韻の歌詞とサンドイッチ構造

歌詞に、押韻が少ない。「押韻に頼らない」というのが的確だろうか。歌詞を書くときに、押韻は手引きになる。それは同時に「押韻依存」に陥り、主人公の存在感や心情描写を希薄にする可能性を孕む。登場人物の心情や関係の変化。気付き。自分を見つめ直す目線。そのまなざしがそのまま歌になっている。そこには私にとってのリアルな藤原基央(BUMP OF CHIKENのVocal & Guitar。『ダイヤモンド』作詞・作曲者)の姿がある。
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Mr.Children『終わりなき旅』 音楽の循環、新しい始まり。

曲の要になっている調はEメージャーだ。このEメージャー調は、ラストのサビで再登場する。この曲は転調してサビに行くので、1回目のサビの調はCメージャー。3回目でCメージャーからDメージャーを経て、さらに調2度上がってEメージャーが登場する。Eメージャー調としては再登場なのだけれど、サビでのEメージャー調はここが初出である。「ヒラウタから転調してサビに行く曲」であるにも関わらず、ヒラウタで使った調があとでサビにも出てくるという特殊な構成。この設計に、私は「旅」を感じる。
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坂本九『上を向いて歩こう』『心の瞳』 私の時事、心の中の紐付け

自分の中にすでにあるものでも、その関係をいかに知らないでいるか。そのことを思い知った。そのまま航空機事故についても調べていったため、この記事の書き出しがあのようになった。痛ましく、心苦しい出来事。それでも、私の胸の中に新たなアーカイブが出来たことは間違いない。坂本九の輝きが、私の中に今もある。それは私にとっての何よりの時事である。
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the pillows『Funny Bunny』ふたつのバージョン違い

the pillowsについては、何を書こうか戸惑ってしまう。いつまでも「過去」にならないからだ。句点を打てない。どこから書き始めて、どこで筆を止めればいいかわからないのだ。彼らの曲が私にとって特別なものばかりだから。でも、とりあえず書き始めて、とりあえず点を打とう。彼らthe pillowsもきっと、そうしてきたように。
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猫も杓子もあいみょん 『マリーゴールド』視聴メモ

オープニングで、逆再生にした風の伸びるトーンではじまるこの曲。その結びも同じトーンによる。オープニングは「逆」再生、エンディングは「順」再生みたいに聴こえる印象は音型のせいか。このからくりに気付いて、この記事で言いたいことが見つかった気持ちになった。腹にオチた感じがした。