人とやる音楽

私はふだん、家でひとりで曲をつくって、それを自分ひとりで録音する活動を主にしています。だから、人と音を合わせてライブをやったり録音したりするのは、ありがたい機会です。楽しいし充足感が高いです。

3〜4人集まればバンドになります。ギター、ベース、ドラムスが揃うと良いですね。数人いても、ドラムスが欠けていると「バンド」っぽくはなくなります。「ユニット」と呼ぶ感じでしょうかね。単に“●人組”とも?

ドラムスはそれだけ、テンポとか曲想を左右する影響力があります。バンドの「指揮者」とも解釈できます。

あるいは、テンポや曲想を左右する主体性を発揮すれば、ドラムスがいなくてもバンド感を覚えることがあるでしょう。バンド感といいますか、単にライヴ感、のようなものでしょうか。それ自体は、もちろん独り(1人)の演奏でも帯びうるものでしょう。何人で演奏していても、空気を司っている感覚を大切にしたいものです。

1人での演奏や創作活動であっても、「己」や「自」という“「人」と音楽をやっている”と解釈できます。屁理屈でしょうか。何人で音楽をやるにせよ“「人」と音楽をやっている”“「人」で音楽をやっている”感覚を大切にしたいと……そうすれば、「人」に響くと信じてやれます。……コンプレックスすらも原動力にして。

曲の名義、発表の概要など

作詞:吉川晃司、作曲:布袋寅泰。COMPLEXのシングル、アルバム『COMPLEX』(1989)に収録。

COMPLEX BE MY BABYを聴く

最強のタッグ感があります。ボーカルとギター、両方に華があります。喧嘩しているのか調和しているのか、その両方なのか。

局面によっての音数の絞り方がうまいですね。ボーカルのすきまを埋めるようにちょっとだけシンセの合いの手が入ります。ロックンロールの語彙でうねり、もんどり打つギターのバッキングフレーズ。ソロは雄弁です。後奏はずっと聴いていたいくらい。クワイア系の音も入ってきて、ザ・ローリングストーンズの某作を思い出しもします。リズムのシンプルさとフックの利かせかた、サウンドではシーナ&ザ・ロケッツを思い出しもします。

サウンドと作詞の意匠がシンプルなのが、二人の男の華を異様に映えさせます。言葉やテーマの表現のシンプルさでは、数多の歌謡を生み出した作詞家の橋本淳さんの作風を思い出しもします。

“愛しているのさ 狂おしいほど 会えない時間が 教えてくれたよ もうはなさない 君がすべてさ BE MY BABY BE MY BABY”

(『BE MY BABY』より、作詞:吉川晃司)

イントロの”BE MY BABY BE MY BABY”……のインパクトがすごい。ここには、布袋さんの楽曲に感じる特異なまでの人懐っこさを感じます。カッコイイのとカッコツケなのは違うのです。耳に残る粘度。

イントロの”BE MY BABY BE MY BABY”……のフレーズは、キックの四つ打ちのリズムとことばの“B”、すなわち子音のB(ビー)の破裂音のタイミングがぴったり合っています。キックが鳴り始める前からキックがいるかのように錯覚するバビブベボの破裂のインパクトで、主題のフレーズによって四つ打ちのビートを打ち出している。言葉(フレーズ)が持つビート感を丁重に扱い、最大限に華を持たせて表層に掬い上げている見事さ。主題とサウンドががっちりタッグを組んで共鳴し、リスナーにぶつかってくる。これは記憶に残るわけです。布袋さんと吉川さんのふたりの英傑のコラボを世界にぶちまけた痛快を覚えます。

青沼詩郎

参考Wikipedia>COMPLEX (音楽ユニット) COMPLEX (アルバム) BE MY BABY

参考歌詞サイト 歌ネット>BE MY BABY

布袋寅泰 公式サイトへのリンク

吉川晃司 公式サイトへのリンク

『BE MY BABY』を収録したCOMPLEXのアルバム『COMPLEX』(1989)

ご寛容ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『BE MY BABY(COMPLEXの曲)ギター弾き語りとハーモニカ』)